2026 ツール・ド・フランスで、あまりにも異常な事態が起きている。
総合上位で激しいバトルを繰り広げているヨナス・ヴィンゲゴーが午前2時、そしてタデイ・ポガチャルが午前5時に抜き打ちのドーピング検査を受けた。
検査には最低でも45分間はかかる。過酷な山岳ステージの合間、回復のために最も重要な睡眠時間が不条理に削られたのだ。
この強引なやり方に、各方面から当然のように批判の声が上がっている。
深夜検査の必要性とITA(国際検査機関)の言い分
ITA explains controversial nighttime tests on 🇸🇮 Pogacar and 🇩🇰 Vingegaard
📸 Cor Vos pic.twitter.com/KPlVzJOk7h
— Domestique (@Domestique___) July 20, 2026
まず、検査を実行したITAは「夜間のテストが選手の睡眠や回復を妨げることは認識している」と弁明している。
しかし、アンチ・ドーピングプログラムの有効性を保つためには、正当な理由がある場合に限り、通常の検査時間外にも実施する必要があるという主張だ。
あくまで選手の健康や権利に配慮しつつ、UCIやWADAの規則、そしてフランスの法律に則っているとしているが、本当にそれだけなのだろうか。
たしかにEPOなどは、摂取してから4時間で消えてしまう。これを悪用したのがランス・アームストロングだ。
現代の自転車界ではバイオロジカルパスポートの導入により、大量のEPO投与や血液ドーピングといった旧来の手法は過去のものとなっている。
だが、依然としてマイクロドーシング(微量投与)のリスクは残っている。
EPOや成長ホルモン(hGH)をごく少量使用するこの手法は、選手の回復を促進する一方で、体内での分解が極めて速く、検出可能時間がわずか5~8時間と非常に短いため、検査の網をすり抜ける懸念が根強く存在している。
これをもとに検査したと言われれば、なんとも言えない。
裏で糸を引くフランス国家機関(AFLD)

だが、実は今回の深夜検査は、ITAが単独で判断して動いたわけではない。
フランスの国家アンチ・ドーピング機関であるAFLDの指示と許可のもとで実行されたという点が、今回の最大のポイントだ。
WADAの元ラボ所長でドーピング専門家のダウエ・デ・ブール氏によると、UCIの規則では2016年以降、深夜帯(23時から翌6時)の検査には明確な疑いなどの正当な理由が必要とされている。
しかし、AFLDの管轄下ではフランスの国内法が適用されるため、具体的な疑いが一切なくても深夜に抜き打ち検査を強行できてしまうというのだ。
デ・ブール氏は、AFLDがスポーツ界のルールよりも独自の権限を優先して暴走していると指摘する。
AFLDが主導権を握っている状況下では、フランス以外の国の選手が理不尽な不利益を被ることになると強く警告している。
もし公平を期すのであれば、現在総合上位につけているフランスの期待の若手、ポール・セイシャス(Decathlon AG2R La Mondiale Team)にも同じように深夜検査を行うべきだ、と痛烈な苦言を呈している。
UCIとAFLDの間の長年の不和。ようは仲が悪い。これが、このような不可解なタイミングでの検査を引き起こした可能性すらあるのだ。
これにより、怪我をした可能性のあるヨナス・ヴィンゲゴー、Team Visma | Lease a Bikeは多大な損害を受けたのは間違いない。




コメント
この出来事は本当に不可解で、後味悪い出来事ですね。かつてレース界を震撼させた黒歴史ランス・アームストロングの事件から、それなりに業界が神経を使ってきた事は理解できますが、あまりにも何らかの意図を感じずにはいられないのは誰の目にも明らか。
レースは佳境も佳境、選手達の疲労はピークを迎えている中での狙い撃ちとも言える検査は、不信感しか生まないどころかフランスの星ポール・セクサスの足すら引っ張りかねない出来事にならないか…そう思わずにはいられません。
当の本人のランス・アームストロングでも夜中の検査はないだろうと。例えば、決勝戦の前にメッシに真夜中検査するかと。あなたが言うことではないとは思いますが。
現在、かなりクリーンになってきており、あからさまなEPOを使用してのドーピングなどはなくなっており、物凄く微小な物質でも検査可能となっている状況。
検査できすぎて、逆にドーピングが疑われて2年も出場停止となったトーン・アールツの問題もあるくらい。
今後、真夜中の検査などはよほど疑われる場合以外は今大会ではないと思いますが、検査の態勢についても統一した意思決定機関が必要でしょうね。