世界の最新自転車機材が集まる中国国際自転車展、通称「上海ショー」にて、ひときわ異彩を放つ未発表のタイムトライアルバイクが目撃された。
それは、INCOLOR社のプロトタイプTTR(Time Trial Radical)だ。
近年、空力性能の向上はフレーム単体から「ライダーが乗車した状態での最適化」へとシフトしているが、このTTRはまさにそのトレンドを極限まで突き詰めた設計となっている。
上海ショーで姿を現したプロトタイプ「TTR」
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最も目を引くのは、UCI規定の限界まで間隔を広げたワイドフォーク設計。
これは、東京オリンピックなどでイギリス代表チームが使用した革新的なトラックバイク「Hope HB.T」と非常に似たアプローチを採用している。
なぜフォークやシートステーをここまで大きく横に広げる必要があるのか。
その最大の理由は、ライダーの脚周りで発生する乱気流の抑制だ。ペダリング時に高速で動くライダーの脚は、自転車全体の中で最も大きな空気抵抗の要因の一つとなる。
TTRのワイドフォークは、フロントフォークとシートステーを脚の動きから意図的に遠ざけることで、フレームと脚の間を空気がスムーズにすり抜ける空間を作り出している。
これにより、ライダーが実際に乗車してペダルを回している状態における総合的な空気抵抗を、極限まで削減する最先端のエアロダイナミクス形状を実現しているのだ。
また、リアにはTrek MadoneのIsoFlowテクノロジーと同じ形状の穴もあいている。
INCOLORブランドとは?
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今回この斬新なTTRを発表したINCOLORは、中国の広州市を拠点とするサイクルブランドで2016年創立。
同社はもともと、プロ選手やナショナルチーム向けの非常に高品質なカスタムペイントやデザインを手掛けるスタジオとして世界的に名を知られていた。
近年はそのオリンピック級の自転車プロジェクトに関わってきた経験と豊富なデータを背景に、自社でのカーボンフレームおよびホイールの研究開発、生産へと事業を拡大している。
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単なるペイント工房の域を超え、独自の空力アプローチでトップレベルの機材開発に乗り出したINCOLOR。
今回のTTRプロトタイプが今後どのように市販化され、実際のレースシーンに投入されていくのか、注目となる。




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