2026年シーズンからUnibet Rose Rocketsのジャージを着ることになったクレマン・ヴェントゥリーニ(32歳)。
Arkéa-B&B Hotelsの消滅に伴い新天地を求めた彼だが、実は当初、このオランダ系フランスチームからのオファーを断っていたという。
Cyclism’Actuのインタビューに対し、彼はその背景にあった「精神的な苦悩」を赤裸々に語っている。
チーム消滅が招いたメンタルの危機
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冬にはシクロクロスをするクレマン・ヴァントゥリーニ。2011UCI世界選手権シクロクロスジュニア王者でもある。
2013年にCofidisのtrainee(研修生)としてスタート。AG2R Citroën Teamには2018年から所属していた。
キャリアでの勝利は4勝
- 2016 ツアー・オブ・オーストリア第2ステージ優勝
- 2017 ダンケルク4日間 第6ステージ優勝
- 2017 ツアー・オブ・オーストリア第6ステージ優勝
- 2018 ルート・ドクシタニー第2ステージ優勝
2026年シーズンを目前に控えた今、心境はいかがですか?
正直に言うと、この冬はかなり特殊なものだった。精神的に激しいアップダウンを経験したから。 12月に入ってようやく新チームとの合宿に参加できたが、少し前までは、自分が2026年に選手として走っているかどうかさえ分からなかったんだ。
Arkéa-B&B Hotelsの消滅はそれほど大きなショックだったのですね。
ええ。僕はArkéaで現役生活を終えるつもりだったし、本気でそう願っていた。GMのエマニュエル・ユベールともここでキャリアを全うしたいと話していたくらいだ。
だが、誰も望まない形でチームは終わってしまった。家族がバラバラになるような感覚だった。
その直後、Unibet Rose Rocketsからオファーがあったにも関わらず、最初は断ったそうですが。
Unibetは最初に声をかけてくれたチームの一つで、すぐにビデオ通話をして契約を提示してくれた。 でも、その時の僕はまだ準備ができていなかった。
頭の中がネガティブな感情で占められていて、『まだ走りたいのか?』という自問自答の中にいた。 実は契約が決まるまでの間、競技のためではなく、ただの健康維持として自転車に乗っていた時期もあったんだ。
プロとして追い込むのではなく、ただ体を動かすためだけにね。
そこからどうやって気持ちを切り替えたのですか?
数ヶ月かけて考え抜き、Unibetとも何度も話し合いを重ねた。 最終的にサインをして、チームに合流して1週間が経ったが、今ではこの選択に全く後悔はない。
むしろ、英語環境や新しい文化に触れることで、コンフォートゾーンから抜け出し、新たな刺激をもらっている。
シクロクロスの元フランス王者として、今シーズンのクロスへの取り組みは?
今年はフランス選手権には出場しない。 先ほど言ったように、将来が不透明な中で競技のための準備が十分にできていなかったからだ。
フランス王者のジャージを狙うには、半端な状態では失礼にあたるから。 今はロードシーズンに向けて、新チームでしっかりとベースを作ることに集中している。
32歳での新たな挑戦、英語でのコミュニケーションには慣れましたか?
フランス登録のチームですが、中身は完全にインターナショナル。僕はチーム内で英語を話したことがなかったので最初は戸惑ったが、それも楽しんでいるんだ。
なにより、このチームには野心と成長への欲求がある。Arkéaでの辛い経験を経て、今またこうして高いモチベーションで走れることに感謝している。

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