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UCIの「ギア制限ルール」に待った!ベルギー競争当局が介入、SRAMが大きな勝利

機材情報
UnsplashNick Fewingsが撮影した写真
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国際自転車競技連合(UCI)がプロロードレースの安全向上のために導入を計画していた新しいギア比制限ルールの試行。

 

これに対してSRAMは法廷闘争をしていたが、ベルギー競争当局(BCA)の介入により、ギア制限のテストは急遽中止となった。

これは、アメリカのコンポーネントメーカーであるSRAMの訴えが認められた結果であり、SRAMにとって大きな勝利となっている。

 

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制限されるはずだったギア比とSRAMの危機

 

UCIは、選手の最高速度を抑制することで落車などの危険を減らすためとして、ギア比の最大値を「クランク1回転あたり10.46m」に制限する試験的なルール(最大54×11Tに相当)を導入しようとした。

この試行は、10月14日から始まるツアー・オブ・広西で実施される予定だった。

しかし、この新ルールは、現在多くのSRAM契約ワールドツアーチームが使用しているSRAM RED AXSの「54×10T」といった人気構成を排除することになり、主要なコンポーネントメーカーの中でSRAMだけが直接的な不利益を被る状況となっていた。

 

SRAMは、「このルールは不公平であり、イノベーションを阻害し、市場の混乱と評判の低下を引き起こす」として、ベルギー競争当局(BCA)に正式に苦情を申し立てていた。

 

ベルギー当局はSRAMの主張を支持し、UCIに対し、予定されていたギア制限の試行を一時停止するよう命じた。

裁定の中で、スポーツ統括団体が選手の安全のために技術基準を設けることの正当性は認めるものの、その基準や試験手順は「比例性、客観性、透明性、および非差別」の基本要件を満たさなければならないと指摘。

そして、UCIのギア制限ルールはこれらの要件を満たしておらず、「係争中の状況で採択された」ものであり、SRAMおよびSRAMが機材を提供するプロチームに対して「深刻で修復困難な損害」を与える可能性があると判断。

このため、試行の緊急停止が正当化されると結論付けている。

この裁定を受け、UCIは「驚きと憤慨」を表明する声明を発表している。UCIは、安全に関するこの措置は自転車競技のすべての関係者によって望まれていたものであり、「競争当局による介入は非常に異例だ」と主張。

しかし、裁定に従い、UCIはツアー・オブ・広西でのギア制限試行を中止することを認めている。

この訴訟は、単なるギア比の問題に留まらず、プロサイクリングという高度に商業化された世界において、UCIが選手の安全を名目とした技術規制を設ける際にも、メーカーの競争の公平性を確保し、正当な手続きを踏まなければならないという重要な前例を打ち立てたことになる。

SRAMにとっては、自社の製品ラインを守り、スポーツにおける公正な競争の原則を主張した、法的にも象徴的にも大きな勝利となった。

コメント

  1. ソルト より:

    安全性を考えたらギア比が青天井ってわけにもいかないので制限は必要でしょうから、各メーカーが納得する落としどころを作れるかでしょうか
    個人的にはルーベも想定した32cで50t-10t(ギア比5:1)ぐらいがいいんじゃないかなと思ってます

    • ちゃん より:

      これに関してはわからないですね~。各メーカー共に製品ラインナップが変わってくるとなると一筋縄ではいかない感じですね。UCIが今後どういう結論を出してくるか、まずはテストしないことには検証材料もないことですし、難しい問題です。

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