ブエルタも残り2ステージ。
ステージ勝利が狙えるのは後2つ。ここまで勝利のないチームは、今日も逃げにライダーを送り込むはず。
ただ、獲得標高は3,450mもあり、後半には5つの山岳ポイントが詰め込まれている厳しいコース。今日はスプリンターチームが追うこともない。
総合に関係のないライダーならば、Team Jumbo-Vismaも見逃してくれるはずだ。最後の逃げ切り勝利が見られることだろう。
第20ステージ サンシェンショ〜カストロ・デ・エルビリェ 202.2km
大西洋のポンテベドラ県にある観光名所サンシェンショからスタート。一部海岸線を走るコースは、アップダウンの連続となる。
最終日前日に202.2kmという長い距離。相当タフでないと最後まで逃げ切れないだろう。
- 3級山岳 アルト・デ・ヴィラチャン 6.5km・5.4%
- 2級山岳 アルト・デ・マビア 6.7㎞・5.7%
- 1級山岳 アルト・デ・モウガス 9.9km・6.3%
- スプリントポイント バイヨンヌ
- 2級山岳 アルト・デ・ガルガンタ 10.3㎞・5.5% ボーナスタイム
- 2級山岳 アルト・カストロ・デ・エルビリェ 9.7km・4.8%
総合勢は、最後の2級山岳の登りに気を付けないといけない。前半こそ、10%を越える勾配があるが、後半はなだらかな登りなのでスピードは上がるはず。
パンクや落車などで遅れないように注意だ。
スタート前
総合2位のエンリク・マスは、ログリッチと2分30秒のタイム差がある。ここまで、自らが動いてひっくり返そうという動きは見せなかった。
今日も、ログリッチから遅れない走りに終始するのかな。
200kmを越えるステージだが、新城幸也は総合4位のジャック・ヘイグを守って走らないといけない。今日もチームの先頭を走る姿が見られるだろう。
ログリッチは、落車などがない限り総合優勝は間違いない。だが、これまでも2度落車しており、絶対何もないとは言い切れない。最後の山岳ではモビスター勢について上がることになるだろう。
第20ステージ スタートでの4賞
- 総合 プリモッシュ・ログリッチ(Team Jumbo-Visma)
- ポイント賞 ファビオ・ヤコブセン(Deceuninck-Quick-Step)
- 山岳賞 マイケル・ストーラー(Team DSM)
- 新人賞 エガン・ベルナル(INEOS Grenadiers)
16人の逃げ
山岳賞1位、2位のマイケル・ストーラーとロマン・バルデを含んだメンバー。
- リリアン・カルメジャーヌ(AG2R-Citroën)
- クレモン・シャンプッサン(AG2R-Citroën)
- スタン・デウルフDewulf (AG2R-Citroën)
- フローリス・デ・ティア (Alpecin-Fenix)
- マーク・パデュン (Bahrain-Victorious)
- ダニエル・ナバーロ (Burgos-BH)
- ヘスス・エラダ (Cofidis)
- ミケル・ビスカラ (Euskaltel-Euskadi)
- ヤン・ヒルト (Intermarché-Wanty-Gobert)
- シルヴァン・モニケ (Lotto-Soudal)
- ニック・シュルツ(Team BikeExchange)
- ロマン・バルデ (Team DSM)
- クリス・ハミルトン (Team DSM)
- マイケル・ストーラー (Team DSM)
- ライアン・ギボンズ (UAE Team Emirates)
- マッティオ・トレンティン (UAE Team Emirates)
集団はTeam Jumbo-Vismaが引くが、全く追いかけるような気はない。
3級山岳 アルト・デ・ヴィラチャン 6.5km・5.4%
ここでイネオスが先頭に上がってくる。
イネオスが集団を引き始める。また、戦争勃発か。
先頭は、すでに10分45秒もボーナスを貰っている。
山岳ポイントは争うことなく、マイケル・ストーラーが1位通過。
- マイケル・ストーラー(Team DSM) 3ポイント
- クレモン・シャンプッサン(AG2R-Citroën) 2ポイント
- ミケル・ビスカラ (Euskaltel-Euskadi) 1ポイント
2級山岳 アルト・デ・マビア 6.7㎞・5.7%
集団はトム・ピドコックが引く始めた。まだ、エガン・ベルナルのために戦いを続けるのか?
タイム差もどんどん縮まってくる。
先頭は2番目の登りの頂上に向かう。
ここもマイケル・ストーラーが1位通過。誰も異議を唱えない。それよりも、エネルギーを節約してゴールで勝負したほうがいい。
- マイケル・ストーラー(Team DSM) 5ポイント
- ミケル・ビスカラ (Euskaltel-Euskadi) 3ポイント
- ヘスス・エラダ (Cofidis) 1ポイント
1級山岳 アルト・デ・モウガス 9.9km・6.3%
1級山岳登り始めで、6人が前に出る。山岳賞のマイケル・ストーラーは19秒遅れ。
- リリアン・カルメジャーヌ(AG2R-Citroën)
- マーク・パデュン (Bahrain-Victorious)
- ロマン・バルデ (Team DSM)
- ライアン・ギボンズ (UAE Team Emirates)
- マッティオ・トレンティン (UAE Team Emirates)
先頭からマッティオ・トレンティンが切れてしまう。ここで切れると、もう、下りでも追いつかないだろう。
マイケル・ストーラーは、後ろからアタックをかけて先頭グループにジョイン。
- リリアン・カルメジャーヌ(AG2R-Citroën)
- マーク・パデュン (Bahrain-Victorious)
- ロマン・バルデ (Team DSM)
- ライアン・ギボンズ (UAE Team Emirates)
- マイケル・ストーラー (Team DSM)
イネオスは、トム・ピドコック、サルバトーレ・プッチョが引き終わり、パヴェル・シヴァコフが死力を尽くして引き倒す。
あとは、アダム・イェーツとエガン・ベルナルだけだ。アタックを遠くからかけるのだろうか?
さあ、アダム・イェーツがペースアップだ。
アダム・イェーツが先頭を引くと、ベルナルは後ろに下がった。アタックの準備か。ジーノ・マーダーもたまらず切れてしまいそうだ。
集団からダビ・デラクルスがアタックをかける。すでにメイン集団も、イネオスの引きで9人しかいない。
ベルナルが揺さぶりをかける。
ベルナルが引き終わった瞬間、アダム・イェーツがアタックだ。すぐにログリッチがチェックに入る。
アダム・イェーツはアタックを続ける。
ジーノ・マーダーが追いついてアタック。
ジーノ・マーダーがジャック・ヘイグを後ろにつけて、総合勢の先頭を引く。
エガン・ベルナルと、ミゲルアンヘル・ロペスは、後ろの集団だ。このまま行くと、ミゲルアンヘル・ロペスは、総合から転落してしまうけど。
マイケル・ストーラーが1位通過。
下りでUAE Team Emiratesのライアン・ギボンズがアタックして単独に。
5人が総合勢の前に出ている。すでに、ミゲルアンヘル・ロペスとベルナルは38秒遅れいる。
- ジーノ・マーダー Bahrain Victorious
- ジャック・ヘイグ Bahrain Victorious
- エンリク・マス Movistar Team
- アダム・イェーツ INEOS Grenadiers
- プリモッシュ・ログリッチ Team Jumbo-Visma
エガン・ベルナルは総合の第2集団の最後尾についている。これ以上遅れると、ミゲルアンヘル・ロペスはジャック・ヘイグに抜かれる。
- ラファウ・マイカ UAE Team Emirates
- ミゲルアンヘル・ロペス Movistar Team
- エガン・ベルナル INEOS Grenadiers
- ステファン・クライスヴァイク Team Jumbo-Visma
スプリントポイント バイヨンヌ
ライアン・ギボンズは単独でスプリントポイントを通過。
ログリッチグループが逃げていた、メンバーに追いつく。10人の集団となった。前は11人のみだ。
- プリモッシュ・ログリッチ Team Jumbo-Visma
- スタン・デウルフDewulf (AG2R-Citroën)
- ジャック・ヘイグ Bahrain Victorious
- ジーノ・マーダー Bahrain Victorious
- マーク・パデュン Bahrain Victorious
- ダニエル・ナバーロ (Burgos-BH)
- ミケル・ビスカラ (Euskaltel-Euskadi)
- エンリク・マス Movistar Team
- アダム・イェーツ INEOS Grenadiers
- クリス・ハミルトン Team BikeExchange
ミゲルアンヘル・ロペスとエガン・ベルナルが遅れたために、バーチャルでの総合順位が変わってしまった。
ジャックヘイグが3位となっている。
2級山岳 アルト・デ・ガルガンタ 10.3㎞・5.5% ボーナスタイム
ライアン・ギボンズはハンドルにステージのコースマップを貼っている。すでに1分30秒のタイム差をつけているが、総合勢が2分45秒と迫っている。
11分もあったボーナスを使い果たしそうだ。
追走からロマン・バルデがアタックをかけたが、すぐにつかまる。追走は下りでおいついて9人に。
- リリアン・カルメジャーヌ(AG2R-Citroën)
- クレモン・シャンプッサン(AG2R-Citroën)
- フローリス・デ・ティア (Alpecin-Fenix)
- ヘスス・エラダ (Cofidis)
- ヤン・ヒルト (Intermarché-Wanty-Gobert)
- シルヴァン・モニケ (Lotto-Soudal)
- ロマン・バルデ (Team DSM)
- マイケル・ストーラー (Team DSM)
- マッティオ・トレンティン (UAE Team Emirates)
ライアン・ギボンズは追いつかれることなく2級山岳を1位通過。ボーナスタイム3秒を手にいれる。
追走グループも2級山岳を通過。
追走グループは、ラスト12kmのゲートをくぐるがログリッチグループに追いつかれそうだ。すでに後ろをみて諦めている。
Bahrain Victoriousの列車は、ついに追走集団を捕まえてしまう。20人の追走グループに膨れ上がった。
2級山岳 アルト・カストロ・デ・エルビリェ 9.7km・4.8%
ライアン・ギボンズは20人に追われる。1分15秒では最後まで逃げるのは難しい。
ミケル・ビスカラ (Euskaltel-Euskadi)がアタック!
あっと、ここでアダム・イェーツがアタック!
一気に引き離した!
だが、ログッチが飛んでくる!
後ろから、ジャック・ヘイグにエンリク・マスも追いつく。
アダム・イェーツは、13%勾配で攻撃を続ける。
たまらず、ジャック・ヘイグが切れてしまう。
だが、少し牽制するとすぐにジャック・ヘイグは戻ってくる。ジャック・ヘイグはここで遅れると、総合3位にはなれない。
ここで、ログリッチが揺さぶりをかける。ログリッチは先頭を引く必要はないのだけど。
ついに、ライアン・ギボンズの後ろに追走が見えてきた。
ただ、一旦下りになる所で、4人は牽制。
その間に、ライアン・ギボンズは再び33秒までリードを開く。
またも、アダム・イェーツがベースアップ。
すると、またもジャック・ヘイグが切れてしまう。
ただ、アダム・イェーツも爆破力が続かないのでジャック・ヘイグは戻ってくる。凄い粘りだ。
ライアン・ギボンズがついに捕まる。
ライアン・ギボンズも追いつかれ5人が先頭に。
エンリク・マスもアタックをかける。
今度は、ライアン・ギボンズがアタックだ。
誰も切れない。ライアン・ギボンズ先頭で残り2.6kmに。
少しペースを落とすと、後ろからミケル・ビスカラ (Euskaltel-Euskadi)が追いついてアタック!
これを利用してアダム・イェーツがアタックする。
だが、ログリッチにマークされる。
あっと、ここで後ろからクレモン・シャンプッサン(AG2R-Citroën)が追いついて、そのままアタックだ。
これは良いタイミングだ。
残り1.7kmで飛び出したシャンプッサンには、誰も反応しない。
さらに、ミケル・ビスカラ (Euskaltel-Euskadi)が続く。
クレモン・シャンプッサンは、奇跡のステージ優勝に向けて爆走だ。
エンリク・マスが最後のアタックをかける。
クレモン・シャンプッサンは、最後までペースを緩めない。
クレモン・シャンプッサンは、ワールドツアー初勝利をこのブエルタの大舞台であげた~!
まさに、奇跡のような勝利だ。このブエルタでは山岳でトップ10フニッシュを2回している。だが、最後の最後で勝利を掴むとは。
総合でも16位に上がっており、来年からは総合エースとして働けるのでは。2018年、2019年と連続してテスト生として走っていた。正式契約となったのは、2020年4月からだ。
23歳と若いので、これから伸びる選手だ。
プリモッシュ・ログリッチは、2位でゴール。最後まで強さを見せつけた。
結局、今日のイネオスのクーデターで最も利益を得たのは、Bahrain Victoriousだ。逃げていた、マーク・パデュンを待たせ、ジャック・ヘイグのためにアシストを最後まで温存。
これほどの成果がこのステージで上がるとは思ってもみなかっただろう。イネオスは、総合5位にアダム・イェーツが上がったが、ベルナルは総合6位に後退。新人賞ジャージも失う。
クーデターの利益はあったと言えるだろうか?
ジャック・ヘイグを完全に落とせていれば、成功だったかもしれないけれど。ただ、見ている側は最高に面白い戦いだった。
リザルト
第20ステージ リザルト
Rnk | Rider | Team | UCI | Pnt | Time |
---|---|---|---|---|---|
1 |
CHAMPOUSSIN Clément
|
AG2R Citroën Team | 100 | 80 | 5:21:50 |
2 |
ROGLIČ Primož
|
Team Jumbo-Visma | 40 | 50 | 0:06 |
3 |
YATES Adam
|
INEOS Grenadiers | 20 | 35 | 0:08 |
4 |
MAS Enric
|
Movistar Team | 12 | 25 | ,, |
5 |
HAIG Jack
|
Bahrain – Victorious | 4 | 18 | 0:12 |
6 |
HAMILTON Chris
|
Team DSM | 15 | 0:16 | |
7 |
BIZKARRA Mikel
|
Euskaltel – Euskadi | 12 | 0:23 | |
8 |
GIBBONS Ryan
|
UAE-Team Emirates | 10 | 0:26 | |
9 |
MÄDER Gino
|
Bahrain – Victorious | 8 | ,, | |
10 |
DE TIER Floris
|
Alpecin-Fenix | 6 | 0:50 |
総合
Rnk | Prev | ▼▲ | Rider | Team | UCI | Time |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | – |
ROGLIČ Primož
|
Team Jumbo-Visma | 20 | 83:11:27 |
2 | 2 | – |
MAS Enric
|
Movistar Team | 2:38 | |
3 | 4 | ▲1 |
HAIG Jack
|
Bahrain – Victorious | 4:48 | |
4 | 6 | ▲2 |
YATES Adam
|
INEOS Grenadiers | 5:48 | |
5 | 8 | ▲3 |
MÄDER Gino
|
Bahrain – Victorious | 8:14 | |
6 | 5 | ▼1 |
BERNAL Egan
|
INEOS Grenadiers | 11:38 | |
7 | 7 | – |
KUSS Sepp
|
Team Jumbo-Visma | 13:42 | |
8 | 9 | ▲1 |
MARTIN Guillaume
|
Cofidis, Solutions Crédits | 16:11 | |
9 | 10 | ▲1 |
DE LA CRUZ David
|
UAE-Team Emirates | 16:19 | |
10 | 12 | ▲2 |
GROßSCHARTNER Felix
|
BORA – hansgrohe | 20:30 |
ポイント賞
Rnk | Prev | ▼▲ | Rider | Team | UCI | Pnt | Points |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | – |
JAKOBSEN Fabio
|
Deceuninck – Quick Step | 250 | ||
2 | 2 | – |
ROGLIČ Primož
|
Team Jumbo-Visma | 179 | ||
3 | 4 | ▲1 |
TRENTIN Matteo
|
UAE-Team Emirates | 145 | ||
4 | 3 | ▼1 |
CORT Magnus
|
EF Education – Nippo | 144 | ||
5 | 5 | – |
DAINESE Alberto
|
Team DSM | 120 | ||
6 | 6 | – |
MATTHEWS Michael
|
Team BikeExchange | 114 | ||
7 | 8 | ▲1 |
MAS Enric
|
Movistar Team | 113 | ||
8 | 7 | ▼1 |
BAGIOLI Andrea
|
Deceuninck – Quick Step | 101 | ||
9 | 10 | ▲1 |
DÉMARE Arnaud
|
Groupama – FDJ | 91 | ||
10 | 14 | ▲4 |
BARDET Romain
|
Team DSM | 89 |
山岳賞
マイケル・ストーラーは、80ポイントとなり山岳賞確定だ。
新人賞
Rnk | Prev | ▼▲ | Rider | Team | Time |
---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | ▲1 |
MÄDER Gino
|
Bahrain – Victorious | 83:19:41 |
2 | 1 | ▼1 |
BERNAL Egan
|
INEOS Grenadiers | 3:24 |
3 | 3 | – |
LÓPEZ Juan Pedro
|
Trek – Segafredo | 18:04 |
4 | 4 | – |
ROCHAS Rémy
|
Cofidis, Solutions Crédits | 39:33 |
5 | 5 | – |
CHAMPOUSSIN Clément
|
AG2R Citroën Team | 43:51 |
6 | 6 | – |
CRAS Steff
|
Lotto Soudal | 1:10:04 |
7 | 7 | – |
CEPEDA Jefferson Alveiro
|
Caja Rural – Seguros RGA | 1:42:02 |
8 | 10 | ▲2 |
SIVAKOV Pavel
|
INEOS Grenadiers | 1:53:13 |
9 | 9 | – |
MARTÍN Gotzon
|
Euskaltel – Euskadi | 1:56:47 |
10 | 11 | ▲1 |
STORER Michael
|
Team DSM | 2:11:31 |
ジーノ・マーダーがトップに。
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