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ツール・ド・フランス第20ステージ まさかの奇跡が~。

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Photo by Touann Gatouillat Vergos on Unsplash
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ツール・ド・フランスもあと残り2日。残るのはパリのシャンセリゼと、この山岳タイムトライヤル。

ゴール前は20%という激坂が待っており、ここで総合順位が変わる可能性もある。

 

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第20ステージ ルアー~ラ・プランシュ・デ・ベルフィーユ 36.2㎞

第20ステージ photo letour

第1計測ポイントと第2計測ポイントまでは、ほぼ平坦といっても良い。

だが、残りは山岳が待っている。しかも1級山岳。

 

1級山岳 photo letour

約6キロに及ぶ登坂は、登り始めから13%勾配。ゴール前は20%だ。

どう考えてもTTバイクでは登れない勾配。どこでバイク交換するかも重要となってきそう。

ライダーによってはロードバイクでそのまま上るだろう。リチャル・カラパスは山岳賞を守れるのかにも注目が集まる

 

各国のTTチャンピオンにも注目

ツール・ド・フランスには各国を代表するTTチャンピオンも出場している。彼らの走りにも注目しておきたい。

  ライダー
1  タデイ・ポガチャル スロベニア
2 トニー・マルティン ドイツ
3  ワウト・ファンアールト ベルギー
4  キャスパー・アスグリーン デンマーク
5  レミ・カヴァニャ フランス
6  ボブ・ユンゲルス ルクセンブルク
7  ペッリョ・ビルバオ スペイン
8  ダニエルフェリペ・マルティネス コロンビア
9  アレクセイ・ルツェンコ カザフスタン
10  ダリル・インピー 南アフリカ
11 ガイ・ニブ イスラエル

 

サム・ベネット

photo tiz-cycling ストリーミングより 以下同様

サム・ベネット(Deceuninck – Quick Step)はエアロヘルメットに全身グリーンジャージで気合が入っている。

ただ、ペダリングはTTポジションを取っているのだけど、回転はゆっくりだ。やや登っているからかな。

 

トニー・マルティン

4度の世界チャンビオンのトニー・マルティンもスタート。いつものドメスティックの役割でレースの前半を引きまくる。

一人で3人分の働きをする男。2年の延長契約を結んでいるのでまだまだ走る姿を見れそうだ。

 

 

レミ・カヴァニャ

昨日の第19ステージで120km逃げたレミ・カヴァニャ(Deceuninck – Quick Step)は敢闘賞ゼッケン。

さすが、フランスTTチャンピオン。クレルモン・フェランのTGVは、次々と先行するライダーを抜いていく。

 

なんと、前を走るトニー・マルティン (Team Jumbo-Visma)も抜いてしまった。これまでのトップタイムを上回るのは間違いない。

チームメイトのカスパー・アスグリーン(デンマークロードチャンピオン)も抜いてしまう。

 

レミ・カヴァニャは最後までTTバイクで乗り続けた。TTポジション意外で走ったのはゴール手前の500mくらいからだけ。

ニルス・ポリッツの記録を1分上回って暫定トップに躍り出た。この記録は長く破られない。

 

ダリル・インピー

なんと、南アフリカチャンピオンのダリル・インピーはゴール前でチェーンが外れてしまう。メカニックも降りて来たけど、直したのはダリル・インピー本人。

 

ジュリアン・アラフィリップ

今年もマイヨを着用したジュリアン・アラフィリップ(Deceuninck – Quick Step)もスタート。勿体ない補給ミスでマイヨを失ってしまったのは残念だった。

 

 

ティボー・ピノ

ティボー・ピノ(Groupama – FDJ)の今年のツールは切ないものとなった。第1ステージのクラッシュをずっと引きずってしまう。

これにより世界選手権のフランス代表の座も降りてしまう。クラッシュで実力が発揮出来ないのはとても残念だ。

だが、フニッシュでは暫定6位の好走を見せている。

 

ワウト・ファンアールト

本日の優勝候補のワウト・ファンアールト(Team Jumbo-Visma )はベルギーチャンピオンジャージで登場。

 

今回のツールでは許されたステージのみゴールを狙ったが、それでも2勝をあげている。ファンアールトは第1計測地点14.4kmでは6位。

第2計測地点30.3kmでは33秒遅れの3位。これは疲れがあるのでだめかな~と思っていた。

 

しかし、登りに入るとグングンとタイムを縮めてきてレミ・カヴァニャのタイムを上回ってしまう。

もし、他チームで守られたライダーならば、どうだっただろうか?

将来的には、グリーンジャージどころか、イエロージャージも狙えるだろう。

 

リチャル・カラパス

リチャル・カラパス(INEOS Grenadiers )は平地はペースを抑えるはず。山岳賞のポイントは1級山岳でのタイムで決まる。

 

カラパスも頑張ったが、まさかの走りを見せるライダーが現れてしまった。

 

ミケル・ランダ

ミケル・ランダ(Bahrain – McLaren)はMuc-Offの新作ビックプーリーを装着してTTに望んでいた。映像では確認できなかったけど。

 

 

トム・デュムラン

トム・デュムランが凄い走りを見せてくれた。デュムランはバイク交換をしない。そのままTTポジションのまま上がっていく。

 

残り2.9kmでファンアールトより36秒も速い!

なんとチームメイトのワウト・ファンアールトよりも速いタイムをたたき出す。ゴール前でも、勢いが落ちることなくワウト・ファンアールトのタイムを10秒上回った。

 

タデイ・ポガチャル

タデイ・ポガチャル(Team UAE)はプリモシュ・ログリッチに追いかけられ形で走る。

第1計測ポイントでは3位でプリモシュ・ログリッチを13秒上回る。そして第2計測ポイントでは第2位。ログリッチェには36秒のタイム差をつける。

 

登りでバイクチェンジしたポガチャル。ここからの走りが凄かった。だれよりも速く1級山岳を上がってしまう。

 

まさか57秒のタイム差をひっくり返すなんて。一体、誰が想像しただろうか?

ツール初出場で初優勝という奇跡の大逆転を演じてしまった。しかも、山岳賞に新人賞まで獲得。まだ21歳の若者がツールを制覇するとは。

奇跡というのはこんなことを言うのだろう。あり得ないことが起こってしまった。

 

 

プリモシュ・ログリッチ

プリモシュ・ログリッチは、第1計測地点を5位通過。第2計測地点でも4位。中々ペースが上がらない。

 

バイクチェンジして望んだ最後の登りでも、足が重いのかタイムが縮まらない。最後にベースが落ちていくのがわかった。

まさかの大逆転をタデイ・ポガチャルに許してしまう。考えられないことが起こってしまったと言っても良い。

 

ゴールでタイムを見つめる、ワウト・ファンアールトとトム・デュムランの顔が曇っていくのがわかった。ゴールタイムは1分56秒遅れの5位。

タイムトライヤルが得意なログリッチェが遅れた原因がわからない。ツールが終わってから原因がわかってくるだろう。

 

 

こちらは第20ステージハイライト

 

第20ステージ リザルト

スマホの場合には、横にスワイプして見て下さい。

ステージ

Rnk Rider Team Avg Time
1 Pogačar Tadej UAE-Team Emirates 38.844 55:55
2 Dumoulin Tom Team Jumbo-Visma 37.928 1:21
3 Porte Richie Trek – Segafredo 37.928 ,,
4 van Aert Wout Team Jumbo-Visma 37.818 1:31
5 Roglič Primož Team Jumbo-Visma 37.545 1:56
6 Cavagna Rémi Deceuninck – Quick Step 37.513 1:59
7 Caruso Damiano Bahrain – McLaren 37.192 2:29
8 de la Cruz David UAE-Team Emirates 37.075 2:40
9 Mas Enric Movistar Team 37.023 2:45
10 Urán Rigoberto EF Pro Cycling 36.928 2:54
 

総合

Rnk ▼▲ Rider Team Time
1 ▲1 Pogačar Tadej UAE-Team Emirates 84:26:33
2 ▼1 Roglič Primož Team Jumbo-Visma 0:59
3 ▲1 Porte Richie Trek – Segafredo 3:30
4 ▲1 Landa Mikel Bahrain – McLaren 5:58
5 ▲1 Mas Enric Movistar Team 6:07
6 ▼3 López Miguel Ángel Astana Pro Team 6:47
7 ▲2 Dumoulin Tom Team Jumbo-Visma 7:48
8 Urán Rigoberto EF Pro Cycling 8:02
9 ▼2 Yates Adam Mitchelton-Scott 9:25
10 ▲1 Caruso Damiano Bahrain – McLaren 14:03
 

山岳賞

Rnk ▼▲ Rider Team Pnt
1 ▲1 Pogačar Tadej UAE-Team Emirates 82
2 ▼1 Carapaz Richard INEOS Grenadiers 74
3 Roglič Primož Team Jumbo-Visma 67
4 Hirschi Marc Team Sunweb 62
5 López Miguel Ángel Astana Pro Team 51
6 Cosnefroy Benoît AG2R La Mondiale 36
7 Rolland Pierre B&B Hotels – Vital Concept p/b KTM 36
8 ▲1 Porte Richie Trek – Segafredo 36
9 ▼1 Peters Nans AG2R La Mondiale 32
10 Kämna Lennard BORA – hansgrohe 27

 

ポイント賞

Rnk Rider Team Pnt
1 Bennett Sam Deceuninck – Quick Step 319
2 Sagan Peter BORA – hansgrohe 264
3 Trentin Matteo CCC Team 250
4 Coquard Bryan B&B Hotels – Vital Concept p/b KTM 173
5 van Aert Wout Team Jumbo-Visma 160
6 Ewan Caleb Lotto Soudal 158
7 Alaphilippe Julian Deceuninck – Quick Step 150
8 Pogačar Tadej UAE-Team Emirates 143
9 Kragh Andersen Søren Team Sunweb 138
10 Mørkøv Michael Deceuninck – Quick Step 129

 

ヤングライダー賞

  Rider Team Time
1 Pogačar Tadej UAE-Team Emirates 84:26:33
2 Mas Enric Movistar Team 6:07
3 Madouas Valentin Groupama – FDJ 1:42:22
4 Martínez Daniel Felipe EF Pro Cycling 1:54:51
5 Kämna Lennard BORA – hansgrohe 2:14:33
6 Tejada Harold Astana Pro Team 2:36:41
7 Eg Niklas Trek – Segafredo 2:49:43
8 Hirschi Marc Team Sunweb 2:51:29
9 Powless Neilson EF Pro Cycling 3:02:48
10 Sivakov Pavel INEOS Grenadiers 4:13:09

コメント

  1. バナナ より:

    まさかの計画とはこのことだったんですかね?パリでは基本総合は変わらないと思うのでポガチャルがやってくれましたね。1日前で総合変更しかも1分差をつけられていたから一分差をつけるという、ベルナル以上の奇跡ですね。
    ログリッチを応援してた側からすると悲しい。

    • ちゃん より:

      ログリッチファンからすると痛恨のステージとなってしまいましたね。
      ただ、エディ・メルクスなどは57秒のタイム差では完全ではないと言ってました。
      ポガチャルはTTを待っていると。彼の進歩具合を考慮に入れてなかったと言えますね。

      また、ログリッチも第1計測地点と第2計測地点でタイム差が広がった時に、精神的に追い込まれたことは確か。バイク交換ももたついてましたし、あきらかに焦っていた。いつもの軽快なペダリングが見れなかっのも精神的なストレスだったのかも。
      来シーズンからの戦略も練り直さないといけませんね。

  2. 通りがかり より:

    正直今年のツール・ド・フランスはログリッチが優勝すると思って見る気すらしませんでした。
    ところが、このステージのミラクルは歴史に残ると思います。
    YouTubeでハイライトを見ましたが本当に痺れました。
    ベルナルがベストの状態でも、このポガチャルの走りには敵わなかったのではないかと思います。
    ポガチャルに加え、来年以降レムコが本格的にツール参戦となったら一気に世代交代が進むと同時にチームもイネオス、ユンボ・ヴィズマからUAE、クイックステップへ変わっていく感じがしています。

    • ちゃん より:

      確かに歴史が変わりましたね。チームのアシストに守られて戦うというレースから個人のずば抜けた力で勝つという新しい戦いの形が出来たかも。
      ポガチャルのバイクも、コルナゴは最新のエアロ形状ではなく丸チューブ。ハートレートモニターもパワーメーターもなしでTTも勝っている。
      フルームのようにパワーメーターで管理して走るという形とも違う。まあ登りTTだけですけど。
      レムコのケガが完全に治れば、面白いことになりそうです。来シーズンが楽しみですね。

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