休息日前のジロ・デ・イタリア第15ステージ。想像通り最後の1級山岳で総合は大きく動いた。
動いたというよりは、遅れてしまったというほうが良いだろう。
総合上位勢がアタックをかけて抜け出すというよりは、Team Sunwebの引きによって崩壊させられたと言ったほうが良い。
第15ステージで順位を落とした総合のライダーは誰だっただろうか?
ペリョ・ビルバオ3位から5位へ
ペリョ・ビルバオ(Bahrain – McLaren)は、残り9.5kmで、ついていけなくなる。
Team Sunwebのクリス・ハミルトン、ジェイ・ヒンドー、ウィルコ・ケルデルマンが先頭を引くトレインの引きは強烈だった。特に、ジェイ・ヒンドーは凄まじかった。
チームメイトのハーマン・ペーンシュタイナーがこの時点で、まだ前にいたのだがビルバオはヤコブ・フルサンと共に切れてしまう。
その後、前を走るニバリグループになんとか追いつく。だが、すでに前を走るSunwebの先頭からは大きく遅れた。
ゴールでは1分36秒遅れてゴール。第14ステージの個人タイムトライヤルを22位で終え、更にこのステージでタイムを失ってしまう。
トップとのタイム差は3分と広がり、これ以上の開きは表彰台を狙うことも難しくなってしまいそうだ。
2018年のジロ総合6位以上の成績を収めることが出来るのか踏ん張りどころだ。
ヴィンツェンツォ・ニバリ5位から7位へ
昨年のジロ総合2位。誰もが今回のジロでも山岳になれば上位に入ると思っていたはず。
だが、ニバリも残り9kmで先頭集団から遅れてしまう。この時点で、ニバリのアシストは一人もいない。
すでに、Trek – Segafredoが二人を失っている。
まずは、ジロのために移籍してきたピーター・ウェーニングが第4ステージでボトルを踏んで落車。第5ステージでめまいがするためにリタイヤ。
そして、ニバリの片腕となるはずだった、ジュリオ・チッコーネも気管支炎でリタイヤ。
昨年の山岳賞にツールでもマイヨジョーヌを着たジュリオ・チッコーネがいなくては、山岳でニバリが一人になっても仕方がない。
ただ、これまでのニバリならば一人でも対抗できたはず。得意の長いクライミングでもあったし、遅れるとは誰も思っていなかった。
ジロは第3週の更に厳しい山岳ステージが始まるが、ニバリが逆襲に出ることは難しいかもしれない。
更にタイムを失った場合には、ステージ優勝にかけるようになるかも。3分29秒というタイム差はかなり厳しいと言わざるを得ない。
ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ7位から8位へ
ドメニコ・ポッツォヴィーヴォは総合の中では10kmで最初に遅れだしてしまう。
NTT PRO cyclingのアシストは、これまでのステージでかなり先頭に立ってドメニコ・ポッツォヴィーヴォのためにアシストしていた。
第15ステージでは、ベン・オコナーがアシスト。だが、前を走るニバリのグループに追いつくことはなかった。ベン・オコナーが力つきてからは一人で前を引くしかない。
37歳という年齢と、昨年のケガから復帰ということを考えると良い走りだと言える。なんとか、総合10位以内は死守して貰いたいところだ。
ジロでは2018・2014と2回総合5位になっている。チームのためにも自分の来季のためにも、もうひと踏ん張りしないといけない。
ジョアン・アルメイダ
ジョアン・アルメイダが総合首位を守ったのはチームとっては大変嬉しい出来事。もし、首位から陥落していたらチームは2重の悲劇となっていた。
ロンド・ファン・フラーンデレンではジュリアン・アラフィリップが骨折リタイヤしてしまった。
アルメイダがマリアローザを同じ日に失う訳にはいかない。追走中も、かなり苦しい顔で走っており舌をだし限界の走りであることは見てとれた。
それでも、56秒のタイム差を全て失わなかったのは素晴らしい。山岳アシストとして、ファウスト・マスナダとジェームス・ノックスがいることも心強い。
クイックステップと言えば、クラシックとワンデイレースが強いイメージだったが、昨年のジュリアン・アラフィリップのマイヨジョーヌの維持や、今回のジロみてもグランツールでも戦えるメンバーとなってきていることがわかる。
アルメイダのマアリローザは風前の灯火だが、総合上位でゴール出来れば凄いことだ。十分にレムコの代わりが務まっている。
今回のジロでは、優勝候補のゲラント・トーマス、サイモン・イェーツ、そしてユンボ・ヴィズマも撤退してしまったが、若いアルメイダの走りで随分と盛り上げてくれていると思う。
第3週の粘りに期待したい。
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