フィリッポ・ガナはアワーレコードを更新しただけでなく、これまでクリス・ボードマンが記録していた技術的に制限のない人間の努力による最高記録も抜いた。
56.792kmは、歴史に名を残す大記録だ。
INEOS Grenadiersの公式サイトでは、足の疲れていないシーズン前とかに再度チャレンジすると書かれていたのだけど、どうやら本心は違うようだ。
本当のインタビューでは
Absolute scenes 🤣
It’s still sinking in what an incredible achievement that was from @GannaFilippo 🙌 #UCIHourRecord
📸 @hardyccphotos pic.twitter.com/XZaTsPtux3
— INEOS Grenadiers (@INEOSGrenadiers) October 9, 2022
二度とやらないと思う。もし、将来するなら、ブラットリー・ウイギンズのように引退前かもしれない。それより、前には考えていない。
スタートした時には、何も考えていなかった。ただ、通常の手順で走って、ラインに従った。
35分後、OK、57kmはいけるかも、と言ったんだ。でも、その後、ボジションを維持するのに苦労し始めた。
そうなると、今度は時間を無駄にしないことを考え始めた。なぜなら、私たちは一緒に素晴らしい仕事をしているからだ。
フィリッポ・ガンナのバイクとギアだけで、75,000ユーロ(約1千万円)を超えている。さらに、記録を破るために組織化されたチームも組んでいる。
これだけのビジネスを途中で止める訳にはいかない。最後の15分間は足が痛みで飽和しており、57kmを走るのではなく完走を目指したそうだ。
こうした準備と投資を念頭に、ガンナは、レムコ・エヴェネプールやヨナス・ヴィンゲゴーなど、現在のグランツールの若手スターたちの誰かが、自身の記録を破ることができるかどうか、聞かれた場合には懐疑的だった。
「もし彼らがやってくれたら嬉しいけど……私には、それを達成するための最高のチームがあると思う。たぶん、彼らがチームに加われば、トライできるだろう。
イネオスは、私のやりたいことによく付き合ってくれたと思う。この結果は、私の脚やパフォーマンスのおかげだけでなく、イネオス・チームの努力の賜物だと思う。」
通常のチームがアワーレコードの為だけに資金を最大限まで使ってチャレンジすることは難しい。それと、フィリッポ・ガンナの場合にはトラック競技に精通している。
これも大きな資質だ。レムコ・エヴェネプールやワウト・ファンアールトがチャレンジするには、レースを行いながらではスケジュール的に難しい。さらに、トラックにも慣れないといけない。
よほどのスポンサーでも現れない限りチャレンジすることもないでしょうね。
この後、フィリッポ・ガンナはUCI世界選手権トラックにも直接参加する。これは、多大な努力を払ったチームへの感謝のしるしでもある。
56.792kmという記録は当分は破られることはないだろう。再び、ガンナがINEOS Grenadiersの組織化されたチームで挑戦するまでは。
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