自転車界の至宝であり、オリンピック2冠や世界選手権優勝など数々の金字塔を打ち立てているRed Bull – BORA – hansgroheのレムコ・エヴェネプール。
レムコは、アメリカのバイクブランドであるSpecializedと生涯契約を締結した。
プロロードレース界において、選手個人が機材メーカーと引退後も続く一生涯の契約を結ぶことは極めて異例であり、両者の深い信頼関係とスポーツ界の新たな契約形態を示す出来事として大きな注目を集めている。
Remco foreverに込められた信頼と絆
レムコ・エヴェネプールとSpecializedの関係は、彼がジュニアカテゴリーで活躍していた時期にまで遡る。
彼はプロデビュー後も一貫してSpecializedのバイクに乗り続け、ブエルタ・ア・エスパーニャ制覇、オリンピックロード・TT金メダル、世界選手権でのロード・タイムトライアル両部門制覇など、キャリアの最も重要な瞬間を同社の機材と共に歩んできた。
引退後も続くこの契約は、単なる機材スポンサーの枠を超えたものとなる。
Specializedの創業者であるマイク・シンヤードは、エヴェネプールが単なるチャンピオンにとどまらず、勤勉さや誠実さ、回復力といった、自身がブランドを立ち上げた理由そのものを体現していると称賛した。
マイク・シンヤードは「これは単なる生涯のパートナーシップではない。終わりのない信念だ。Remco foreverだ」とコメントし、彼への強い思い入れを表現している。
このかつてない規模の個人契約は、自転車競技におけるトップ選手の影響力の大きさを物語っており、今後のスポーツマーケティングのあり方にも一石を投じる契約となった。
今後、レムコ・エヴェネプールが移籍したら、Specializedもサガンの時と同じように、移籍したチームをサポートすることになりそうだ。
レムコ・エヴェネプールのコメント
私はキャリアの最初からSpecializedとともに歩んできた。勝利の瞬間も、困難な時も、そのすべてをともにしてきた。
お互いに完全な信頼関係があるからこそ、この生涯契約は、レーシングキャリアにおいても、その先を見据えても、ごく自然なステップだと感じている。
まだ多くの目標があり、これからもSpecializedのサポートを受けられるという確信は、大きな自信につながる。
私たちは同じワークエシックスを共有し、互いに高め合っているんだ。この先の道のりがとても楽しみだ。

コメント
あー、とうとう正式に発表されましたか……。
実はこの契約、表向きには発表されてませんでしたけど2年程前からレムコとSpecializedが個人契約をするんじゃないかという話はぽつぽつとモレていたんですよね……。 ただまあ引退後まで見据えた生涯契約になったのは一寸意外でしたけどね。
で、発表されたので少し話しますとSoudal – Quick StepがSpecializedとの契約を終了してMeridaと契約した最大の原因は実はこっちなんです。 無論Bahrain Victoriousとの契約終了に伴いワールドチームへの機材供給先を失ったMeridaがトップカテゴリーへの新たな契約先を探しており、男女合わせて4チームに機材供給をしているSpecializedに対して1枠譲るよう交渉(まあ予想通り筆頭株主の立場から資金援助の増額と引き換えに枠の譲渡をというモノです)していたのは事実ですがSoudal – Quick Stepとしても今後Specializedがレムコ中心に機材の開発・供給をしていくという事に不満があり(これ2010年前後にもSpecializedがアルベルト・コンタドールを中心にした体制を敷いた事に不満をもってEddy Merckxに切り替えたという前例があります)場合によっては機材供給先の変更も止む無しと考えていた事もありこの辺りの考えや利害の一致がSoudal – Quick StepのMeridaへの変更に繋がっているんです。
ワールドチームへの機材提供ともなれば提供先のチーム、特にエースクラスの要求するフレームを開発する必要性がありますので今回の様な個人契約があってそちら優先型になるとチームの特色によっては一寸困る場合が出てきます。
サガンの場合だと彼はスプリンター寄りのパンチャーでありステージレースで総合優勝を目指すタイプの選手ではなくステージ狩り、及び春のクラシックでの活躍を中心に据えた選手だったので基本クラシックチームであったQuick Stepとは相性がよく問題がありませんでした。 けどレムコはステージレース、それもグランツールでの総合優勝すら期待される選手なのでクラシックに重きを置くSoudal – Quick Stepとでは一寸方向性にずれがあるんです。 まあそれでもレムコがSoudal – Quick Stepに所属していたならば問題は無かった(レムコの希望以外にもチームとしての希望をある程度通せました)んですがレムコ移籍しましたからねぇ……。
***少し小話を***
Soudal – Quick StepがSpecializedと決別した様にメーカー側の方針に不満を持って決別した例としてはやはりMovistar Teamが有名でしょう。 このチームは前身であるレイノルズの頃からPINARELLOを使用、1992年からはほぼ一貫してPINARELLOを使用しており、いわばPINARELLOを世界最高峰のブランドに押し上げた立役者の様なチームでありある意味PINARELLOの恩人と言っても良いチームでした。
しかし2010年Team Skyの設立以後同チームに比重を置いた供給体制をPINARELLOが敷いた為にcanyonに変更したという経緯があります。
まあここまでならMovistar Teamの機材供給先の変更はチームの『誇り』の問題だったんですけど2019年シーズン限りで37年間続いたCampagnoloとの契約を打ち切ってSRAMに切り替えた際は『結局は金か』と裏で言われたんですよね……。
近年ワールドチームにおけるドライブトレインの使用率においてSRAMが躍進してますが実はコレ、性能じゃなくて資金でもぎ取ってるんですよね……。 シマノ使用チームに対しシマノの3,4倍になる契約金を提示してもぎ取っているというのが実情なんですよね。 まあ一番その影響をうけているのは資金力が最も脆弱なCampagnoloなんですが現在機械式最上位グレードのドライブトレインを製造しているのはCampagnoloだけなので無くなると困るという自転車愛好家が多いんですよね……。