今回の2026 ツール・ド・フランスを振り返ったとき、私の記憶に最も鮮烈に焼き付いているのは、なんといっても第21ステージにおける3回目のモンマルトルの丘での息を呑むような死闘だ。
2回目の登坂でUAE Team Emirates – XRGの強力な牽引からタデイ・ポガチャルが鋭いアタックを仕掛け、そこにAlpecin-Premier Techのマチュー・ファンデルプール、さらには下りでレムコ・エヴェネプール、マッズ・ピーダスンというロードレース界を代表する豪華な面々が次々と合流した。
その時点でも十分に伝説的な瞬間だったが、彼らでさえそこから逃げ切ることは叶わなかった。
しかし、本当のドラマはここからだった。3回目のアプローチで今度はマチュー・ファンデルプールが全身全霊の仕掛けを見せ、それにタデイ・ポガチャルただ一人が食らいつく。
誰もが不可能だと思った2人だけの逃げ切りというミッションインポッシブルを、彼らは見事に完遂してみせたのだ。わずか10秒程度での息詰まる逃げと集団との攻防は最高のレースシーンを演出してみせた。
雨の石畳を駆け抜けた2025年の記憶と、驚異の登坂タイム
Two truly unforgettable battles 😍
Just as Wout van Aert had in 2025, Mathieu Van der Poel went head to head with Tadej Pogačar on the cobbles slopes of Montmartre to claim a legendary victory on the Champs-Élysées in Paris. pic.twitter.com/cwasuY65mp
— Velon CC (@VelonCC) July 27, 2026
この劇的な幕切れを目にして、私の脳裏には昨年の2025 ツール・ド・フランス第21ステージの光景がまざまざと蘇ってきた。
あの日は雨で濡れた滑りやすい石畳のうえで、Team Visma | Lease a Bikeのワウト・ファンアールトが最後のアタックを敢行した。
最強の王者であるタデイ・ポガチャルを力で引き離し、見事に単独でゴールまで逃げ切ったあの衝撃的な走りは、今でもファンの間で語り草になっている。
そして今回、彼らのパフォーマンスをデータで比較してみるとさらに興味深い事実が浮かび上がってくる。
2026年のモンマルトル登坂において、マチュー・ファンデルプールが叩き出したタイムは1分24秒だと言われている。

タデイ・ポガチャルのStravaデータ
これは共に駆け上がったタデイ・ポガチャルのStravaデータから推測される驚異的な数字だ。
一方で、2025年のツール最終ステージにおいてワウト・ファンアールトが何分で登坂したかを示す明確なデータは残っていない。
Velon CCあたりが、比較データを出すのを待っていたのだけど、Stravaとかで誰かが記録してないとさすがに拾えないか。
しかし、ワウト・ファンアールトが2024年のパリ五輪の同じコースで1分31秒というタイムを記録していることを考えれば、雨の石畳という悪条件だった昨年においても、ファンデルプールとのタイム差はごくわずかだったのではないかと想像を掻き立てられる。
年を追うごとに進化を続ける選手たちと、パリの街に刻まれていく新たな伝説。次は一体誰がこのタイムを打ち破り、私たちの想像を超えていくのだろうか。
さすがに、この二人のランデブーが来年も見られるとは限らない。ただ、ここにワウト・ファンアールトが加わるとさらにスリリングなものが見られるはず。
総合トップで現役世界ロード王者と、クラシック王者でありシクロクロス現役王者の戦いなど中々みられるものではない。
これからも最高峰の舞台で繰り広げられる限界への挑戦から目が離せない。是非、来年も最高の戦いを期待したい。

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