UCIはニースで行われたセミナーで一酸化炭素吸入の使用を明示的に中止するように警告した。
ロマン・バルデがレースを変えたかもしれないという一酸化炭素リブリーザーの使用は出来なくなるのだ。
一酸化炭素リブリーザーの使用禁止
UCI vraagt ploegen tijdens congres in Nice expliciet te stoppen met inhalatie koolmonoxide:
Lees meer over het hoe en waarom op @WielerFlits https://t.co/Zn4LzjZRqf#wielrennen
— Raymond Kerckhoffs (@raykerckhoffs) November 26, 2024
現在一酸化炭素リブリーザーを使用しているチームは3つ。
- UAE Team Emirates
- Team Visma | Lease a Bike
- Israel – Premier Tech
タデイ・ポガチャルは、一回使っただけだと明言。
Team Visma | Lease a Bikeのヨナス・ヴィンゲゴーは以下のように語っている。
一酸化炭素を吸入すると、紙巻きタバコを吸うのと同じくらいの量の物質が肺に送り込まれる。危険なものではない。
それについては何も疑わしいものはない。血液中の赤血球数と高地トレーニング期間の効果を測定するんだ。高度に達した日と再び下山した日を測定する。ヘモグロビンの蓄積量の違いがわかる。それ以上何もない。
2人共、高地トレーニングがうまくいっているか測定のためだと言っている。
ここで、一酸化炭素が身体に入るとどうなるかを示す厚生労働省の一酸化炭素の説明があるので見てみよう。
血液中のヘモグロビンは酸素と結びついて全身に酸素を運ぶ役割をしていますが、一酸化炭素は酸素に比べて200倍以上もヘモグロビンと結びつきやすい性質を持っています。
このため一酸化炭素があるとヘモグロビンは酸素と結びつくことができず、血液の酸素運搬能力が低下してしまい、酸素不足に陥ります。これが一酸化炭素中毒です。引用 一酸化炭素
重要なのはヘモグロビンと結びつきやすという性質だ。吸入されると簡単にいうと一酸化炭素中毒になりやすい。
このため、UCIはまず健康のために中止を勧告。さらに、以下に述べるような効果も報告されているからだ。
持久力を高める可能性
一酸化炭素吸入のメリットと呼べる効果がある。
運動能力、特にサイクリングのような持久的スポーツにおいて、一酸化炭素は酸素の運搬と利用を高める可能性があるとして注目されている。
制御された低用量で吸入されると、一酸化炭素はヘモグロビンと結合し、カルボキシヘモグロビンを形成する。
この結合は血液の酸素運搬能力を低下させ、高地で経験するような低酸素状態をシミュレートする。
身体はエリスロポエチン(EPO)の産生を増やし、赤血球の生成を促し、総ヘモグロビン量を増加させることで反応する。 ヘモグロビンの量が増えれば、筋肉への酸素運搬が改善されるのだ。
コントロールされた一酸化炭素吸入によって高地トレーニングの効果を模倣し、アスリートは赤血球数を増加させ、長時間の身体活動中の酸素運搬を改善できる可能性がある。
サイクリングだけでなく、他のエンデュランス・スポーツでもCO吸入によるパフォーマンス向上が研究されているのはこのためだ。
プロサイクリストの能力は大きくは違わない。しかし、各チーム共に1%の効果を求めて新しい技術を見つけては試している。
一酸化炭素吸入は以前から他の競技でも使われているけれど、プロサイクリストのように高地トレーニングをする人には有効だ。
高地トレーニングは1300mくらいから有効だと言われており、2000m以上でトレーニングしているならば十二分に効果がある。
高地トレーニングのデメリットは、負荷が高いために疲労回復が遅くなる。人によっては合わないこともあり、以前はあまり行われていなかった。
それが、今では全てのチームが行っている。この高地トレーニングと同じ効果が、一酸化炭素吸入で得られるならば、これほど手軽なことはない。
まずUCIは中止を警告。これからWADAも禁止に向かって動き出すかもしれない。
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