2026年のパリ〜ルーベにおいて、タデイ・ポガチャルが見せた圧倒的なパフォーマンスの裏で、所属するUAE Team Emirates – XRGのチーム連携に疑問符がつく場面があった。
タデイ・ポガチャルが、最初のパンクに見舞われた際、すぐそばにいたはずのチームメイトがバイクを差し出さず、素通りしたのだ。
Alpecin-Premier Techのマチュー・ファンデルプールがパンクした際には、ジャスパー・フィリップセンやティボール・デル・グロッソは、みずからのバイク、ホイールをすぐさま差し出している。
他チームとの信頼関係の差、孤軍奮闘を強いられながらも勝利を手にするポガチャルの強さと、彼を取り巻くチームの現状を紐解く。
モルガドの素通りと通信環境の格差
Video from a fan of Pogačar’s bike change.
🎥: sjavie_ pic.twitter.com/MHOhhGXsZX
— Lukáš Ronald Lukács (@lucasaganronald) April 13, 2026
ポガチャルが最初にパンクした際、すぐそばをチームメイトのアントニオ・モルガドが通過していた。
静止画でも確認できるが、アントニオ・モルガドはタデイ・ポガチャルのほうを向いており、見ているはず。しかも、タデイ・ポガチャルはアルカンシェルなので、見えないはずはない。
モルガドの身長は180cm、ポガチャルは176cmと体格差は少なく、即座にバイクを差し出していれば、ポガチャルはShimanoの青いスペアバイクで7kmも走る必要はなかったはずだ。
ちなみに青いバイクのフレームは、2020年のCanyon Ultimate CLXなので、少し古い。コンポの問題もあったとタデイ・ポガチャルも言っているし。
Six kilometers after Pogacar’s puncture, Bjerg and Politt are still in G1 and seemingly unsure what to do
Antonio Morgado had finally been called back, and only rejoins Pogačar 6 km after the puncture. pic.twitter.com/Grm0XCtgPN
— Luc Grefte (@LucGrefte) April 13, 2026
さらに不可解なのは、エースが遅れているにもかかわらず、ニルス・ポリッツやミッケル・ビョーグが先頭集団に残り続けていたことである。
この連携不足の背景には、通信環境の問題が潜んでいる可能性がある。
ライバルであるTeam Visma | Lease a BikeがStarlinkを活用しているのに対し、プロトン随一の潤沢な予算を誇るUAE Team Emirates – XRGはいまだに5G通信に依存しており、情報伝達に致命的なタイムラグが生じていた疑いがある。
と、いうよりもエースがいなかったら普通待つと思う。
Starlinkは、SpaceX社が提供する、低軌道衛星を利用した高速・低遅延の衛星ブロードバンドインターネットサービスです。高度約550kmの多数の衛星を運用し、空が見える場所なら、山間部や海上、災害時でも安定した通信が可能。専用アンテナを設置することで、個人から法人まで利用できる。
引用 スターリンク(Starlink)とは?
揺るぎない信頼関係を見せたAlpecin-Premier Tech
Mathieu van der Poel punctures on the Arenberg 😱
Jasper Philipsen gives him his bike and then Tibor Del Grosso sacrifices his own wheel to keep the Dutchman moving! pic.twitter.com/pUC3iFVa6r
— Cycling on TNT Sports (@cyclingontnt) April 12, 2026
UAE Team Emirates – XRGの混乱とは対照的に、見事な連携を見せたのがAlpecin-Premier Techだ。
アランベールの森でマチュー・ファンデルプールがパンクした際、ジャスパー・フィリップセンは迷うことなく自身のバイクをエースに差し出した。
さらに、すでに後輪がパンクしていたティボール・デル・グロッソは、自分のホイールをマチュー・ファンデルプールのバイクに取り付けていた。
ジャスパー・フィリップセンは、2024 ミラノ〜サンレモでの強力なリードアウトや、今後のツール・ド・フランスを見据えたスプリントでのリードアウトなど、二人の間には互いを助け合う確固たる信頼関係が築かれている。
過去のパリ~ルーベでは、ジャスパー・フィリップセンがマチューを助けている。
エースのために自らを犠牲にできるかどうかが、極限のモニュメントにおいてチームの明暗を分けることとなった。
独裁的ではないリーダー像がもたらす影響
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UAE Team Emirates – XRGのアシスト陣が絶対的な献身を見せきれない理由として、ポガチャルのリーダーシップの性質も影響していると考えられる。
過去のツール・ド・フランスでジョアン・アルメイダがフアン・アユソーの非協力を指摘したことや、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュでアシスト陣がエースの攻撃よりも自身の順位を優先するような動きを見せたこともあった。
アシスト陣は、自分がセカンドグループに入れるかどうかとか、自らの成績を気にするような走りを見せることがあるのだ。
もし、これがレムコ・エヴェネプールが同じ状況に陥っていれば、チームメイトは確実に止まっていたはず。
まして、昔のランス・アームストロングとかだったら、後が大変だ。
ポガチャルは表立ってチームメイトを責め立てるような恐ろしいボスではない。しかし、今回上記のレース後の自身のインスタグラムで感謝を捧げたアシストのリストに、アントニオ・モルガドの名前はなかった。
温厚な王者は、素通りされた事実を静かに受け止めていたのかもしれない。
ただ、違う見方をすれば、アントニオ・モルガドがバイクを差し出していたら、引いてアシストはできなかったはず。でも、止まることのほうが大切な気がする。
異例のチームカー合流と王者の証明
A Paris-Roubaix to remember 🤩
Wout van Aert wins Paris–Roubaix 2026 after a thrilling finale against Tadej Pogačar, following a day of complete chaos on the cobbles as many favourites suffered their own bad luck. pic.twitter.com/l9bmTR9oL0
— Velon CC (@VelonCC) April 12, 2026
また、タデイ・ポガチャルの最初のパンクの直後、UAEのチームカーが驚異的なスピードで彼に追いついたことも議論を呼んでいる。
通常、石畳の区間ではサポートカーが集団を追い抜くことは厳しく制限されているはずであり、ギリギリのタイミングでの合流であったと言える。
UAE Team Emirates – XRGは、今回も消耗戦に持ち込む作戦を立てながら、エースのタデイ・ポガチャルがパンクによって幾度も窮地に立たされた。
チームメイトの絶対的なサポートが欠け、独裁的な統率力を持たないがゆえの脆さを露呈しながらも、最終的に勝ってしまう。
この事実こそが、タデイ・ポガチャルという選手の底知れぬ強さを何よりも証明している。





コメント
鋭いですね〜。
通信の問題もあったみたいですが、皆、余裕がないのかもしれませんね。
チーム内も派閥が多いのかも知れませんね。
去年のツールでは、ビンゲゴーを置いていこうとしたワウトを批判していましたが、今回は状況が違うけど、ポガチャルの身に起きてしまいましたね。
タデイ・ポガチャルは、チームでもっと大事にされるべきです。当初の契約では石畳などは入ってなかったと聞いてます。
パリ~ルーベは本人の希望ではなくチームの意向ではないかと。例えば、ゴール後ほとんどの選手はすぐにレインジャケットやウォーマーをかけてもらいますが、気温2度でもタデイ・ポガチャルは、半袖でインタビューを受けていたこともあります。
他チームでは考えれないこと。これを全く怒らないし、友達のように接するタデイ・ポガチャルは、本当に性格が良いとしかいいようがない。これでも勝つのだから天才といっていいですね。
なんと!本人の希望ではなかったと。驚きました。いや、驚いたのは私くらいで、ベテランのサイクルロードレースファンの方は薄々気づいていたのかも知れませんね。
去年のアユソとチームの不和やクリステンが「ポガチャル以外はアシストしない」と発言してアルメイダのアシストを拒否したり、もっと前はシチリア島のステージレースで、フィッシャーブラックがエース置き去りにしてリーダージャージ着たり、ゴタゴタあるチームだなと思ってましたが‥
確かにヤン・クリステンもアシストせずに、チーム内から不評を買ってましたね。
フィン・フィッシャーブラックの場合には、アタックしたら意外にも抜け出していたといった感じでしたが。
ただ、それでもタデイ・ポガチャルは勝ってしまうのだから凄いライダーですね。
クリスチャン=プリュドムも「リエージュでポガチャルとスプリント決着を期待している」と言ったとか。
ツール主催者が言うような事かと思いましたが、圧力がすごいですね。
そのうちポガチャルが見るに耐えないから「君をかばうよ」とか言ってUAEに引き入れたりたりしたらどうなるんでしょうね。
ツールの主催トップが特定の19歳の若手を名指しして、しかもポガチャルとの直接対決を期待するなんて、おっしゃる通り少し異常な熱狂ぶりですよね。フランス国家からの圧力がすごすぎて、セイシャスがプレッシャーに潰されないか心配になってしまいます。
ポガチャルが「かばうよ」と手を差し伸べる展開、本当にありそうですね!
実際にUAEは彼の獲得に動いていると言われているし、大統領や自国メディアの重圧から逃れるために、最強のポガチャルの庇護下に入るというのは、彼にとっても精神的に一番平和な選択肢かもしれません。
もし実現したら、ヤン・クリステンやアイザック・デルトロたちと一緒に、UAEがさらにとんでもない若手帝国になってしまいますが、どうなるんでしょうね~。
若手主体になったらどんなチームになるんでしょうね〜。もしかしたらチーム紹介PVでUAEラップが披露されるかも知れませんね〜
リドルでアユソとスケールモースが揉めたように、必ずしも歓迎されるとは限らないでしょうね。
UAEはローカルレースで、アダムイェーツとラエンゲン、あとは若手みたいなメンバーで出場しますが、ちゃんと言うこと聞くのかなと思ったりします。
まあ、流石に仕事なのでいうことを聞かないということはないでしょうね。そんなことしてたら、首になるかと。