2026 世界選手権ロードで、マチュー・ファンデルプールは積極的な走りを見せ、最終的に銅メダルを獲得した。
しかし、その代償は決して小さくなかったようだ。
レース翌日に本人が公開したWHOOPのデータでは、回復スコアがわずか1%。心拍変動、安静時心拍数、睡眠、呼吸数などを基に算出される数値で、1%は極めて低い水準にあたる。
マチュー自身もその画像に「The cost of going all in」と添えており、世界選手権で文字通りすべてを出し切ったことをうかがわせる。
世界選手権で見せた「すべてを出し切る」走り
モントリオールで行われた世界選手権で、マチュー・ファンデルプールは早い段階から積極的に動いた。
残り90km、70km、50km、7km何度アタックをかけただろう。
最後まで勝負に絡み、ブランドン・マクナルティが優勝、マイケル・マシューズが2位となるなか、マチューは銅メダルを獲得した。
本人もレース後、「自分が思い描いていたレースを走った」という趣旨のコメントを残しており、攻撃的にレースを進めたことを後悔しているわけではない。
特に世界選手権は無線がない。マチューはこれを気に入っており、本能のままに前で展開することで、自分のやりたい走りが実現できると言っている。
一方で、その走りが身体に与えた負荷は大きかった。

Mathieu van der Poel Instagram story
翌日のWHOOPの回復スコアは、なんと1%。
これは単純に「疲れた」というレベルではなく、WHOOPの指標上、身体が非常に大きな負荷を受け、ほとんど回復していない状態を示す数値だ。
もちろん、WHOOPの数値だけで選手の実際の身体状態を断定することはできない。それでも、世界選手権でマチューがどれほど自分を追い込んだのかを示す、非常に興味深い数字である。
「もっと待っても勝てたのでは?」という見方も

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そんなマチューの走りには、別の角度からの評価も出ている。
元プロ選手のヤン・バークランツは、世界選手権後の評論で、マチューがレースを動かしたタイミングについて厳しい見方を示した。
ヤン・バークランツによれば、マチューが6人のグループからさらに攻撃した時点では、状況はむしろ理想的だったという。
ワウト・ファンアールトがグループに含まれていたことでベルギー勢が追走しにくく、クイン・シモンズがいたことでアメリカ勢も積極的に追う必要がない状況だった。
そして、モントリオール終盤の1.7kmのコート・カミリアン=ウードについて、ヤン・バークランツは後方のクライマーたちが大きな差を埋めるのは難しかったと分析している。
つまり、あのタイミングでもう一度攻撃せず、グループのまま進んでいても勝負できたのではないかという見方だ。
もちろん、これはレース後だからこそ言える分析でもある。
実際、マチュー自身は、後方からの有力選手の攻撃を先回りするために、自らレースを難しくする必要があると判断していた。これは女子のデミ・フォレミングの走りを見てもわかる。
世界選手権という一発勝負で、どのタイミングが正解だったのかは結果論だけでは判断できない。
ただ、最終的に銅メダルに終わったことで、「もう少し温存していれば」という議論が出てくるのも当然だろう。
今冬のシクロクロスはどうなる?
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そして、もう一つ気になるのが今冬のシクロクロスだ。
マチューはこれまで8度の世界王者に輝いており、2027年1月には9度目の世界タイトルを目指す可能性がある。
しかし、現時点では出場するかどうかは決まっていない。
マチュー自身も世界選手権後、「シクロクロスに復帰するかは分からない」という趣旨の発言を以前から何度もしている。
そこに大きく関係してくるのが、初めて父親になることだ。
恋人のロクサーヌ・ベルトルスさんは2027年1月に女の子を出産予定。ちょうどシクロクロスのシーズン、そして1月31日にオーステンデで行われる世界選手権の時期と重なる。
兄のダヴィド・ファンデルプールも、マチューが今冬のシクロクロスを休む可能性について、父親になることが一つの理由になると話している。
「これから父親になることは、彼が向き合いたい、そして向き合うべき特別な瞬間だ」
ダヴィド・ファンデルプールによれば、シクロクロスは単に「1時間レースを走る」だけではない。レースのたびにインタビューなどもあり、一日を通して精神的な集中力とエネルギーを必要とする。
そのため、マチューは一度、シクロクロスから離れてゆっくり過ごす冬を望んでいる可能性があるという。
2027年の春を見据えた選択になるのか

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さらに、シクロクロスを休むことには、ロードシーズンへの準備という意味もある。
一方で、ダヴィド・ファンデルプールは「シクロクロスを走らないことが必ずしも春の成績を良くするとは限らない」とも話している。過去のシーズンでは、シクロクロスとロードを両立してきたからだ。
したがって、今冬のシクロクロス欠場が決まったとしても、それは単純に「疲労したから」という話ではない。
- 世界選手権で限界まで追い込んだ身体を休ませること
- 初めて父親になる時間を大切にすること
- 2027年のロードシーズンに向けて新たな準備をすること
複数の要素が重なった結果として、マチューがこれまでとは違う冬を選択する可能性がある。
現時点でクロス欠場は決定していない。まずは世界選手権後の休養を取り、その後にチームと今後のプログラムを話し合う予定だという。
8度の世界王者が、もし今冬のシクロクロスを走らないとなれば、大きな変化になる。
そして、その先に待っているのは、9度目の世界タイトルではなく、父親として迎える初めての冬になるのかもしれない。









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