2022年のシーズンが終わりに近づき、UCIは、翌年のスポーツの技術規則の更新にしっかりと目を向けている。
UCI技術規則のUCIテクニカルレギュレーションの明確化ガイドの新しいバージョンが公開され、2023年1月1日に発効する。
主な改正点を簡単に列挙すると
- ハンドルバーの幅は350mmまで
- 3対1ルールの撤廃
- ロードレースのピンレスナンバーの禁止
- サポートカーの距離の指定
- タイムトライヤルバーの規定の更新(背の高いライダーに考慮)
- 統合されたボトルゲージの規制
- ヘルメットの最大寸法の指定
- ハンドルバーが前輪車軸の10cm前方に位置することを許可
などなど。少し話題になるとすぐに規制する。もう、ほとんど学生の校則のようだ(^^;
ハンドルバーの幅の規制
これまで、UCIの技術規則の第1.3.012条では、自転車のハンドル最大幅が500mmを超えてはならないことを規定していた。
今回は、最小幅を規制している。
例えば、上記のような340mmという幅のハンドルはUCI公認レースでは使用できなくなる。
簡単な計算では、バー自体が40km/hで走行するときに2cmごとに約0.9ワット節約できる。
少しと思うかもしれないけれど、プロでは手を2cm近づけるごとに、時速40kmで走行するときに25Wのアドバンテージがあると言われている。
Intermarché – Wanty – Gobert Matériauxの逃げ屋、タコ・ファンデルホールンのハンドルバーはドロップ部が38cmと狭いが、フードはターンインしてブレーキフードの先端で30cmとなっている。
多くのライダーが採用したように、ブレーキフードを内側に傾けて使用している。だけど、これはハンドル幅が380mmあるのでOKだ。
極端に狭いハンドル以外は使えるということだ。少し前に紹介した、AeroCoach Ornixエアロハンドルバーは、UCIの規制を先取りしており、合法ハンドルとして売り出されている。
まあ、ハンドル幅については、4月からUCIも言ってましたね。
サポートカーの距離の指定
This really needs to stop, on top of fact that car is likely too close to him anyway. Given calculations i’ve seen likely it gave him the win over Wout#Dauphine2022 pic.twitter.com/PRuyqTgY9G
— G Hofman (@letstalkcycling) June 9, 2022
まあ、これも言われてました。サポートカーに満載に積まれたバイクが壁になって後ろからライダーを後押ししていると。
今回、UCIは第2.4.023条にルールを追加した。2023年からは、自動車はライダーの10m後方ではなく、15m後方を走行しなければならなくなる。
サポートカーに乗せるバイクの数は言っていない。まあ、色々なライダーをサポートするので台数の規制は出来ない。チームにメンバーの人数分サポートカーが用意されている訳でもないですしね。
ゼッケンナンバーのピン止めもルール化
プロライダーでは、ピンレスのポケットに入れるナンバーの付け方が見られるようになっている。
2020年のツール・ド・フランスのロードレースでは、ゼッケンナンバーのピン止めが要求された。カメラから見えないからと言うのが理由だ。
第1.3.029条は、「特に競技や公式の式典では、ジャージの文字やライダーの識別番号を隠すことはできません」と要求している。
だが、ライダーが識別しやすい個人およびチームのタイムトライアルでは引き続き許可される。
ヘルメットの大きさの指定
ロードヘルメットとトラックヘルメットの最大寸法も指定された。
規制では、ヘルメットの長さは450mm以下、幅は300mm以下、上から下まで210mm以下でなければならない。
UCIは指定していないけど、2022ツール・ド・フランスのオープニングタイムトライアル中にINEOS Grenadiersが採用した大きなヘルメットが影響していると思われる。
今後、出てくるかもしれない巨大ヘルメットを先取りして禁止した訳だ。とにかく、少しでも話題になって技術革新が行われようとした時には、規制すると言った感じかな。
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