2026年のストラーデ・ビアンケ。今年も絶対王者タデイ・ポガチャルによる独壇場になるかと思われた土埃の舞うトスカーナの丘で、世界中のロードレースファンの目を釘付けにした一人の若きスターが誕生した。
見事2位でフィニッシュラインを駆け抜けた、Decathlon AG2R La Mondiale Teamのポール・セシャスだ。
記録だけを見れば、またしてもポガチャルの圧勝かもしれない。しかし、実際のレース展開を紐解くと、そこには王者を極限まで追い詰めたポール・セイシャスの姿があった。
UAE Team Emirates – XRGが露骨なチーム戦術を使ってまで彼を足止めしなければならなかった事実が、彼の持つ底知れないポテンシャルを物語っている。
「絶対王者タデイ・ポガチャルを倒すことができるのは、ポール・セイシャスしかいないのではないか?」——そんな期待を抱かずにはいられない、驚愕のデビュー戦を終えた本人の声を聞いてみよう。
ポガチャルを脅かす確かな手応え
¡El primer ataque demoledor de Tadej Pogacar en 2026! Tadej Pogacar lanzó su ataque definitivo a 80 kilómetros de meta de la Strade Bianche 2026. “El campeón del mundo, como en años anteriores, se marcha en solitario hacia meta”. 🤩🔥🪓💨 📹Eurosport pic.twitter.com/dgxLEVSVvY
— ⚡MazaCiclismo⚡ (@RuedaPedal) March 7, 2026
勝負の分かれ目となったのは、モンテ・サンテ・マリー。ここでポガチャルが下りで強烈なアタックを仕掛けた。
瞬時に反応し、王者の背中を追ったのはトム・ピドコック。しかし、チェーンがはずれ後退。変わってポール・セイシャスが追ったが、その行く手を阻んだのは、アイザック・デルトロだった。
さらに終盤、ローテーションを完全に拒否して脚を溜めていたデルトロとの一騎打ちにおいて、圧倒的な力で彼を千切って2位を勝ち取った底力。
これは信じられないことだ。ポガチャルとのタイム差以上の何かを感じさせたポール・セイシャスに、レース後の興奮冷めやらぬ状態でインタビューとなっている。
素晴らしい2位表彰台でした。まずはストラーデ・ビアンケという過酷なレースを終えての、今の率直な気持ちを教えてください。
ありがとう。タデイ・ポガチャルは、2024年や2025年と同じように、他の選手より1段も2段も上のレベルにいたよ。
でも、自分の2位という結果にはすごく満足しているんだ。この美しいシエナの広場で表彰台に立てたことは、本当に信じられない気持ちだよ。
勝負所のモンテ・サンテ・マリーでポガチャル選手がアタックした際、後方では何が起きていたのでしょうか?
少し奇妙な状況だったんだ。彼がアタックした時、僕はトム・ピドコックについて行こうとした。
でも、アイザック・デルトロにブロックされたんだ。1度や2度ではなく、3度もね。完全に足止めを食らってしまった。それは一種のゲームで、UAEはそういう戦術でプレイすることを決めたんだと思う。
執拗なブロックを受けながらも、自力でポガチャルに追いつく寸前まで行きましたね。
ギャップをなんとしても埋めなければならなかった。タデイのような選手が前にいる場合、20〜30メートルの差は致命傷になるからね。
必死に彼のホイールに食らいつこうとして、本当にあと少しのところまで迫ったんだ。でも……あと500m足りなかった。彼は自分のペースを完璧にコントロールしていて、後ろを振り返り、僕をホイールに入れたくないと強烈に牽制していたよ。
終盤は、あなたをブロックしていたデルトロ選手と2人で抜け出す形になりました。
そう、タデイが逃げた後、僕はデルトロと一緒に追走グループから抜け出した。でも彼は前を牽こうとしなかった。
前方にチームメイトのタデイがいるんだから、彼がローテーションを回さないのは戦術として当然のことだ。 終盤に2人で走り続けていた時は、常にフルスロットルで本当に過酷だった。
正直、「最後まで脚を溜めている彼に、最後のスプリントで差されるだろうな」と覚悟していたんだ。僕はただ、表彰台のために全力を尽くした。
結果的に2位になれて、彼を自分のホイールから千切ることができたのは、自分でも驚くべきことだったよ。
今回の走りで、いつか絶対王者ポガチャルを倒せるという確かな手応えを掴んだのではないですか?
彼にそれほど遅れを取らなかったことは、自分の成長を示している。そしてこの成長こそが最も重要なことだ。
間違いなく大きな自信になる。初めてのレースで2位に入り、スタートではポガチャルを除く全選手を抜き去った。これから先への大きな自信だ。努力が実を結び、今年はトップ選手たちと戦えるという自信につながった。
恐るべき19歳。実際の期待以上の走りを披露した。間違いなくUAE Team Emirates – XRGのワンツーフニッシュの展開だった。これを足で覆したのだから、本物だ。
いまだにDecathlon CMA CGM Teamは、グランツール出場を明言しない。それどころか、準備が整うまでツール・ド・フランス出場はないという。
なんとなくだが、ツールまでにポール・セイシャスはさらに勝利を得そうな感じだけど。通常ならばメジャーレース出場ではなく1クラスのステージレースやワンデーレースで実績を積む年齢だけど、それは必要ない。いっかいのアシストではないのだ。
すでにポール・セイシャスはトップクラスであり、彼より速い実力のある選手は数えるほどしかいないのだ。




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