シクロクロスの第一人者であるトーン・アールツ(Baloise – Trek Lions)は、1月19日尿サンプルから禁止物質が見つかったために、レース停止して1年近くたつ。
出場停止は、自分の意思で潔白が証明されるまで出場を見送っていた。今回、UCIからトーン・アールツに通知が届き、記者会見で2年間の出場停止処分となることが発表された。
復帰には時間が
トーン・アールツは、1月19日の自宅での競技会外チェック中に、レトロゾール代謝物が見つかっている。
非常に微量で意図的に摂取したのではないとして、ドーピング使用の通常の4年間の出場停止処分ではなく、2 年間の出場停止処分を受けることになる。
UCIは、アールツがドーピングを行う意図がなかったことを認めているからだ。
これについてトーン・アールツは以下のように記者会見で語った。
「今日、私は実際には望んでいないメッセージを世界に送らなければなりません。残念ながら今週、誰も受け取りたがらない手紙をUCIから受け取りました。UCIが2年間の出場停止を提案しているという内容です。
これは非常に厳しい罰です。自分はドーピングの罪人ではないと良心的に断言できる人に対しては、あまりにも厳しい罰です。
私はドーピングを使用するつもりはありませんでしたし、自分のパフォーマンスを向上させるために自発的にドーピング製品を使用したこともありません。自分の無実を証明するためにできる限りのことを続けます。」
レトロゾールとは
女性の乳がん治療に使われるレトロゾール。
アメリカのドーピング防止機関USADAのウェブサイトには、レトロゾールの物質が何であるかが明確に記載されている。それがどのようにパフォーマンスを向上させるのか、そしてなぜそれが禁止リストに載っているのか。
レトロゾールとは
レトロゾールは、女性のエストロゲン依存性乳がんと闘うために使用される薬に含まれている。レトロゾールは、体内のエストロゲンの量を減らすことで、成長するためにエストロゲンを必要とするある種の乳がん細胞の成長を遅らせたり止めたりすることができる。
法的に、レトロゾールは医師の処方箋でのみ入手可能。ただし、レトロゾールやその他のパフォーマンス向上薬を違法に販売しているWebサイトがある。
パフォーマンスを向上
同化ステロイドホルモンを乱用する運動選手はレトロゾールのようなアロマターゼ阻害剤を使用してエストロゲンの形成を打ち消し、それによって同化ステロイドホルモンの望ましくない女性化効果を低減または防止することができる。
男性アスリートは、レトロゾールなどのアロマターゼ阻害剤を使用して、その分解を防ぐことにより、自分の自然なテストステロンレベルを上げることができる。
レトロゾールは、栄養補助食品の成分として合法的に組み込まれたり、販売したりすることができない強力な薬。
汚染された栄養補助食品?
トーン・アールツのマネージャーは、汚染された栄養補助食品から誤って接種したと主張している。髪のサンプルは、トーン・アールツの無実を証明する上で非常に重要となる。
そのため、トーン・アールツは巻き毛で歩き回り、髪を切ることを拒否している。
トーン・アールツ側は、控訴を予定しており最善の場合には減刑される。トーン・アールツの、2年間の出場停止処分は 2024年2月15日まで続く。
あまりにも長い。2月15日ならば、シクロクロスシーズンも終わっており、出場出来るレースもないかもしれない。
実際に復帰出来るのは、2024年の後半からとなる。その時、トーン・アールツは32歳を越えている。それまで、気力と体力が続いているのか難しいと言わざるを得ない。
また、獲得した賞金についても返還しなければならなくなるかもしれない。
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