ベルギーのル・サミンのレース前に、Deceuninck – Quick StepのGM、パトリック・ルフェーブルはワウト・ファンアールトやマチュー・ファンデルプールを破る戦術についてインタビューに答えている。
ウルフパックは、群れを作り数で彼らを圧倒すると言っていた。
だが、ル・サミンではマチュー・ファンデルプールがハンドルバーの破損でスプリントに参戦出来なくてもAlpecin-Fenixは勝利してみせた。
Alpecin-Fenixは、オンループ・ヘットニュースブラッドで見せたDeceuninck – Quick Stepの戦術を見事に繰り返したとも言える勝ち方だった。
プロチームがワールドチームを圧倒する
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パトリック・ルフェーブルは、その過激な物言いから良く批判もされることがあるが、チームを育てる力はずば抜けている。
才能ある若手を見抜いては、ウルフパックの中で育てて一流の選手に育て上げる。ジュリアン・アラフィリップだってそうだ。チーム予算でチーム力を上げている訳ではない。
リフェーブルは、ワウト・ファンアールトとマチュー・ファンデルプールを倒す計画があるのか、尋ねられた時に次のように述べている。
チームにワウト・ファンアールトや、ファンデルプールはいるか?いいえ。チームにはアラフィリップがいる。
アラフィリップ周辺には勝利出来るライダーが数人いる。土曜日にオンループ・ヘットニュースブラッドで見たような集団闘争で、2回の落車の後でも我々は勝った。
私たちは、ウルフパックの精神をチームに留めることができる。オオカミが犠牲者に対して常に何をしているのか知っているか?
彼らはそれらを隔離する。そして、それは私たちが今後数ヶ月でやろうとしていることだ。
確かに、オンループ・ヘットニュースブラッドでは、序盤でイヴ・ランパールトを落車で失い、ジュリアン・アラフィリップが逃げている時に、ゼネク・スティバルが落車してしまう。
これにより、追走を邪魔するライダーがいなくなり、アラフィリップは捕まってしった。
だが、プランBでアラフィリップは集団先頭を引き続け、見事にダヴィデ・バッレリーニの勝利を呼び込んだ。
当然、ゴール前にカスパー・アスグリーンや、フロリアン・セネシャルが残っていて引いたことが大きい。
まさに数で圧倒した形だ。
だが、同じことがル・サミンでも起こっている。Alpecin-Fenixはドリース・デポンドがアタックをかけ、マチュー・ファンデルプールもアタックをかけて集団を分断。
マチュー・ファンデルプールのアタックには、Deceuninck – Quick Stepのアルバロホセ・ホッジが追走したが、付き切れしてしまう。これでホッジのスプリントはなくなった。
最後の石畳でフロリアン・セネシャルがアタックをかけて、マチュー・ファンデルプールと二人になる。ここでは、逃げ切りで勝つDeceuninck – Quick Stepの作戦は功を奏したように見えた。
だが、マチュー・ファンデルプールがハンドル破損で後続に捕まると、作戦変更となり、スプリントに切り替えないといけなくなる。
しかし、Deceuninck – Quick Stepで残っているのは、ティム・デクレルクとマーク・カヴェンディシュ、フロリアン・セネシャルの3人だけ。
マーク・カヴェンディシュは途中逃げにも乗っており、足は残っていない。ティム・デクレルクもスプリントする足は残っていなかった。
ウルフパックはレース途中でも柔軟に作戦を変更して勝利するが、今回はスプリントで勝つという明確なビジョンは持っていなかったようだ。
まあ、マチュー・ファンデルプールがいるので、スプリントになるとは誰もおもわないだろう。
逆にAlpecin-Fenixは、スプリンターのティム・メルリエが残っていた。2019年のベルギーチャンピオンは最後の石畳の前で、足を使っていたジャスパー・フィリップセンのアシストを受けて前にポジションを移すことが出来た。
Alpecin-Fenixは、Deceuninck – Quick Stepがオンループ・ヘットニュースブラッドで見せた作戦をそっくりと、そのままやり返した形だ。
つまり、足で批判に対して答えを出したと言っても良い。プロチームがワールドチームに組織力で勝つというのは凄いことだ。
これからも、Deceuninck – Quick Stepはマチュー・ファンデルプールを封じこめるためにアタックをつぶすようにマークするだろう。だが、Alpecin-Fenixもチーム力は上がっている。
マチュー・ファンデルプール一人のマークだけでは、足元をすくわれてしまうので注意が必要だ。
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