今年初めに、ジロ・デ・イタリアに出場するViniZabù-KTMがレース中にパワーメーターを使わないことを発表したのは衝撃だった。
チームのマネージャーであるルカ・シントによると、彼のライダーの何人かは数字に夢中になっていて、それが彼らを抑えていたと言うのだ。
チームリーダーのジョヴァンニ・ヴィスコンティは、彼らがまるでロボットに見えると。もっと感情と判断で行動することを望んでいると。
だが、これらのメリットにもかかわらず、優れたサイクリストになるには数値以上のものが必要となる。
私たちは自分自身とバイクの感触を維持する能力、そして自分自身の体型とフィットネスを信頼し、楽しんで、時には自分で決断する必要がある。
自分自身を信じる
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特定の数字を達成することに集中することは、自分の期待を実現するのに役立つが、より高い目標に到達することを妨げることにもなりかねない。
つまり、私たちは自分自身を伸ばして、自分にもっと与えるべきものがあるかどうかを見極めるよりも、安全地帯から抜け出せなくなる可能性が高いということ。
すべての決定がデータに基づいたものであるならば、私たちは自分自身を抑え込み、データでは捉えることのできないライディングの要素を利用することができなくなってしまうかもしれない。
世界選手権女子TTチャンピオンであるクロエ・ダイガードは、昨年9月にパワーメーターを使わずにタイトルを獲得した。
当時、ダイガートは次のように語っている。
私の最大の利点はパワーメーターをつけていなかったこと。パワーメーターを見て、『私はハードに走りすぎている、もっとスピードを落とさないといけない』と思ったのを覚えている。
彼女は以前のライドでパワーメーターが自分の足を引っ張っていることに気づいていた。
ダイガードはまったく計測をしていなかった。ダイガードは、自分の能力を最大限に発揮して走っていただけで、それが実を結んだということだ。
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今年のツール・ド・フランスでのタデイ・ポガチャルも同じだ。個人タイムトライヤルでパワーメーターを使っていない。
しっかりと、練習を積んでレースにのぞんでいるならば最後は自分を信じてパワーに縛られない走りをすることが結果に繋がる。
自分自身の最大の能力をパワーメーターによって、阻まれないようにするということも必要だということだ。
自分自身を知る
ワットの数値を比較するには素晴らしいものだが、比較しすぎるとデリットになる可能性がある。
私たちは皆、体型もサイズも違うし、野心も目標も、ペースの好みも違う。
自分の体のことをよく知り、自転車の上で自分の体がどのように感じているかを知ることで、健康的な生活を送ることができるようになる。
過分なデータはかえって、マイナスに作用すると言うことだ。
サイクリストの私たちにとっては、数字に忠実に従うために自身の気持ちを無効にすると、ストレスや燃え尽き症候群などの痛みの世界全体に行き着き、感染症や病気につながる可能性もある。
過度に無理なトレーニングは禁物ということか。
このリスクに対抗する方法は、セッションの努力の認識を加えること。努力の認識とは、自分がどれだけ頑張っていると感じているかを認知的に評価することだ。
これにより、私たちは自分の体の声に耳を傾け、さまざまな努力レベルやサイクリングの状況にどのように反応するかを知ることができる。
人に出来るからと言って、自分が出来るとは限らない。人にはレベルや段階に応じたトレーニング強度が必要ということかな。
最初からプロや上級者のマネをしてはいけない。
楽しみ続ける
世界選手権で優勝したいからと言ってサイクリングを始める人はいない。私たちが自転車を購入するのは、より早く移動したいから、少しフィットネスしたりから。
楽しいので、自転車を使い続けている。
しかし、アメリカのデューク大学の健康心理学の実験では、パワーメーターのような客観的な尺度で運動を測定することは、私たちに激しい運動をさせるのに適しているが、それはまた、サイクリングを行うことから得られる楽しみを減少させることがわかっている。
目がモニターに向いていると、周りの世界を見ていないことになる。
長期的に見れば、データが絶えず流入しているために、トレーニングを完全に中断または延期してしまうこともあるという。
ヒュー・ギルモアは、Podium Psychologyのスポーツ心理学者で、データに集中しすぎることの影響を研究している。
これによると、彼は自問自答することを提案している。
もし、できる限りのことをして、すべて勝ったとしても、まだ自転車に乗ることが出来ますか?
これに対する答え、そして重要なのはその理由で、データの外部に焦点を当てることを優先をすることをあげている。
その 「なぜ」を忘れずに、サイクリングがあなたの人生にもたらす他のすべてのものに感謝することが重要だと言う。
もしあなたがライディングの楽しさを失っているように感じたら、数字とは関係のない別のタイプの目標を設定してみることを進めている。
さらに良いことは、違うスキルを学んだり、ジュニアの指導をしたり、チャリティのために募金活動をしたり、または素晴らしいライド写真とルート情報をInstagramで、皆と共有することに時間を費やしてください。
他の人とつながり、情熱を共有することも楽しみの一つとなる。
維持する
パワートレーニングすることの魅力の一つは、標高変化や風などの環境条件に影響されないこと。
パワーセットアップが正しくキャリブレーションされていれば、他のどの指標よりも正確で客観的な測定が可能となる。
しかし、データが多すぎて時には迷ってしまうこともだろう。
私たちの注意力には限界があるかは明確。すべてに集中することはできない。
もう一つの例として、多くのライダーが一定のワット数まで走らなければならないと感じていることも指摘されている。
セッションのためにワット数を落とさなければならないとなると、失敗したと感じるでしょう。しかし、高地やダイエット中には、パワーが落ちてしまうことが良くある。
例として、ある合宿で、谷間ではなく山の中で12分間のトレーニングを行ったライダーの例を挙げている。
ライダーはパワーが5%ほど落ちたことに動揺していたが、実際にはその高度では6~8%の低下を予想していたはずで、実際には素晴らしいパフォーマンスを発揮していた。
データには、明快さを提供するためのコンテキストが必要となる。
このようなルートでパフォーマンスをテストすることは、フィットネスの改善を測定するための良い方法となる。
ヒルクライムが最適な場合がある。理想的には、登るのに10〜20分かかる程度。少し短いが、実際に最大で作業するのに十分な強さが必要となる。
やはり、ヒルクライムのタイムで測定するのが、明確にパフォーマンスが上がっているのを確認するに良い方法となるようですね。
実際、パワーメーターを使用していても、実走行ではメーターを頻繁に見る余裕はないし、特にヒルクライムとかだと登るのに必死で見る余裕もないですよね。
忘れていることが多い。
パワーメーターは面白いものですけど、あまり数値に縛られないようにすることも大切なようですね。
まあ、私の場合には大した数値も出ないので、あまり関係ないですけど(^^;
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