フアン・アユソーにとって、2026年は新たな挑戦の年だった。
UAE Team Emirates – XRGからLidl-Trekへ移籍し、グランツール総合優勝を狙うエースとして期待を背負った。
開幕戦のヴォルタ・アン・アルガルヴェでは総合優勝を飾り、新天地でのスタートは申し分なかった。
しかし、その後は落車と病気に見舞われ、シーズン終盤、特にツアー・オブ・広西では、出場していたのかと思うほど期待された走りを取り戻せなかった。
不運なアクシデントだけで説明できるのか。アユソーの2026年は、その実力が本当に発揮されたシーズンだったのだろうか。
移籍初戦で証明した実力 ヴォルタ・アン・アルガルヴェ総合優勝
2026年、フアン・アユソーはUAE Team Emirates – XRGを離れ、Lidl-Trekへと移籍した。契約は2030年まで。グランツールで総合優勝を争えるリーダーとして、大きな期待を集めていた。
UAEではタデイ・ポガチャルをはじめとする強力な選手たちと共存する一方、チーム内での役割や競技方針をめぐる問題もあった。
ジョアン・アルメイダは、フアン・アユソーはツール・ド・フランスでも自分のために走っており、タデイ・ポガチャルを全力でアシストしていないと発言したこともあった。
新天地で自らの能力を最大限に発揮できるかどうかは、移籍当初から注目されていたポイントだった。
その答えは、最初のレースで示された。
ヴォルタ・アン・アルガルヴェでは、最終ステージのマリャオン山頂フィニッシュを制し、ステージ優勝と総合優勝を獲得。ジョアン・アルメイダやポール・セイシャスらを相手に、堂々たる走りを披露した。
この勝利によってLidl-Trekへの移籍をめぐる疑問に答えたと言ってよい。新しいチームとの連携も機能し、アユソーが本来持っている登坂力と総合力を示した結果だった。
この時点では、移籍は成功に向かっているように見えた。ところが、順調なスタートは長く続かなかった。
パリ~ニースでの落車だ。
パリ~ニースでの落車、イツリアでは病気に苦しむ
次の目標となったパリ~ニースでは、第4ステージを迎えるまで総合首位に立っていた。しかし、落車によってレースを去ることになり、総合優勝を争う機会を失ってしまった。
続くイツリア・バスクカントリーでも苦難は続く。
第1ステージの個人タイムトライアルでは38位。かつて2024年に総合優勝を果たした大会だっただけに、期待された結果ではなかった。
さらに、第4ステージでは胃腸の不調によってリタイヤ。後に報じられた情報によれば、春の不調にはウイルス感染も関係していた。
落車による影響と病気が重なり、シーズン序盤に予定していたレースプログラムは大きく崩れてしまった。
トレーニングだけで、強くなれる訳ではない。この期間の強い強度での競い合いが不可欠なのだ。
ツール・オーヴェルニュ=ローヌ=アルプで見せた復活の兆し
約2か月にわたる調整期間を経て、アユソーはツール・オーヴェルニュ=ローヌ=アルプに復帰した。ツール・ド・フランスに向けてコンディションを立て直すための重要なレースだった。
第3ステージのチームタイムトライアルでは、Lidl-Trekが好成績を収め、アユソーは総合争いで5位へ浮上。チームのサポートを受けながら、再び総合優勝を狙える位置につけた。
そして第7ステージ、グラン・コロンビエへの登坂で、アユソーは勝負に出る。
残り6.7km付近からアタックを仕掛け、独走態勢に持ち込んだ。ステージ優勝をつかむかに見えたが、後方から追い上げてきたアイザック・デルトロに捕まり、一気に突き放された。逆転を許して2位に終わった。
レース後、アユソーは早い段階で攻撃しすぎたことを悔やみ、勝利を逃したという趣旨のコメントを残している。
それでも、この走りは復調を感じさせるものだった。相手の動きを待つだけではなく、自らレースを動かして勝利を狙う。その積極性は、総合系ライダーとしてのアユソーの強みを示していた。
しかし、デルトロとの力関係は、続く第8ステージではっきりと表れることになる。
アイザック・デルトロとの対決で露呈した差
第8ステージでは、アユソーとデルトロの直接対決が再び実現した。
前日にアユソーの攻撃をしのいだデルトロは、この日は残り約8kmでアタック。アユソーはその動きに対応できず、差を広げられてしまった。
アユソーはゴール後、デルトロが別次元の強さを見せたことを認めている。前日に自らが仕掛けた攻撃を逆転されたことに続き、今度は相手のアタックに反応できなかった。
最終的にアユソーは総合3位で大会を終えた。デルトロとの差は総合タイムで1分17秒。
復帰戦として表彰台を獲得したこと自体は評価できるが、山岳での直接対決ではデルトロが上回った。
その後、フアン・アユソーはアイザック・デルトロは別次元にいると完敗を認める発言をしている。
そして、Lidl-Trekで迎えたツール・ド・フランス。マティアス・スケルモースイェンセンとダブルエースで望んだけれど、総合7位で終えている。
決して悪くないのかもしれないけれど、チーム、そして自身が期待していた順位とは程遠かった。
コーチも「何かがおかしい」と認めた
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そして、最終ステージレースのツール・ド・広西でも総合6位。全く決勝戦に出れていない。なんとか走っているイメージだった。
そして、アユソーのコーチ、アリッツ・アルベラスは、2026年のパフォーマンスが本来期待される水準に達していないことを認めた。
チームは、トレーニングでは良好なデータが得られているにもかかわらず、実際のレースでは結果につながらないという問題に直面しているという。
これは見過ごせない点だ。
通常、レースで結果が出なければ、トレーニング不足や準備の失敗が原因として考えられる。しかし、アユソーの場合、コーチの説明ではトレーニングの数値と実際のレースでのパフォーマンスが一致していない。
本人も努力を重ね、高地トレーニングや世界選手権に向けた準備に取り組んできた。それにもかかわらず、期待どおりの結果が得られないため、コーチ自身も原因を特定できていないという。
チームは健康状態や医療面の問題を含め、トレーニングデータなどを幅広く調べている。
ここで注意したいのは、身体に異常があると確定したわけではないということだ。
落車やウイルス感染の影響が長引いている可能性もあれば、レースでのコンディション調整など、別の要因が関係している可能性もある。
ただし、本人の努力やトレーニングの数値だけでは説明できない状況が続いているという点で、アユソーの不調は単なる成績不振以上の問題になっている。
UAE Team Emirates – XRGに所属するジョアン・アルメイダについても、今シーズンは目を覆うばかりの不調だ。2025年が過去最高のコンデションだっただけにもったいない。
ただ、ジョアン・アルメイダの場合には血液検査で異常が出ている。フアン・アユソーとは違うのだ。
これから、チームで来シーズンのレース目標などが決められるが、まずはフアン・アユソー本人のレースで結果が出ない理由を探らないとどうにもならないかもしれない。
安定性の欠如、落車に合わないなど、運もやはり必要なのではないかと勘繰ってしまう。
Lidl-Trekは、王国を建設しており、アシストはばっちりだ。あとはエースが実力を発揮すれば問題ないのだけど。







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