ボブ・ユンゲルスが現役引退を決断した。
33歳。
プロロードレーサーとしては、まだまだ第一線で戦える年齢だ。それだけに、このニュースには驚きがある。
かつて「独走王」とも呼ばれ、長距離を一人で逃げ切る強さを持っていたユンゲルス。グランツールの総合争いでも結果を残し、クラシックでも勝利を挙げた男は、数々の挫折を経験しながらも何度も立ち上がってきた。
しかし、最後に待っていたのは、もう一度勝利を目指すための復活ではなく、現役生活の終わりだった。
大怪我、手術、長い不調
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ボブ・ユンゲルスは、長い間、すべてが簡単に手に入るように見えていた。ジュニア時代には2012世界TTタイトルを獲得。U23パリ~ルーベを制し、ネオプロ時代には4つのレースで優勝。
その後、2016 ジロ・デ・イタリア総合6位、2017 ジロ・デ・イタリア総合8位と2回入賞。
アルデンヌクラシックやフランダースの石畳でのクラシックレースでも優勝するなど、グランツールの有力候補となった。
彼は、その才能をどう生かすかということだけが唯一の問題といえるほど。しかし、その贅沢な悩みは消え去ることになる。
「閾値を超えた状態で2~3分過ごすと、筋肉に必要な酸素が供給されないために起こる痛みがあるんだ。刺すような痛みがあって、次にしびれて、そして消えていく。
明らかに常にあるわけではない。血流に問題があるので、ステージレースでは回復が少なくなるために悪化する。
トレーニングでは、長時間にわたって閾値を超えることはめったにないから、難しい問題なんだ。」
それでも、ユンゲルスは、2018 リエージュ〜バストーニュ〜リエージュの優勝に続いて、2018ツール・ド・フランスで総合11位に入る活躍をみせる。
さらに、2019年にはクールネ〜ブリュッセル〜クールネ優勝、ロンド・ファン・フラーンデレン3位に入るなど、石畳のクラシックライダーとして再起したため、問題は誰の目にもないように見えた。
しかし、2019 ジロ・デ・イタリアでは本調子にならず、総合33位。そこからシーズンが頓挫していく。2019 ルクセンブルク選手権は制覇するのだけど、その後のレースが続かない。
2020年にはパンデミックもあったが、その不調を覆い隠すことが出来ないほどになってしまう。
2021年、事態はさらに悪化。移籍したAG2R Citroën Teamで注目を集めていたユンゲルスだったが、完全に挫折してしまう。
2021 アムステルゴールドは、落車リタイヤだったが、シーズン序盤のパリ~ニースやボルタ・ア・カタルーニャでは、すでに希望が失われていた。6月のツール・ド・スイスでも同じような苦難が待つことに。
そして、2022年6月に、ベルギーの医療施設で、両足の動脈内膜症(血流が阻害される珍しい病気)を宣告されたのだ。
その手術は彼のキャリアを救っただけでなく、彼の人生を確実に好転させることになる。
失われた3年は、8度目のルクセンブルクTT王者になったことで復活の序章となる。そして、2022 ツール・ド・フランス第9ステージで、64kmの独走をきめたことで完全復活となった。
得意の逃げて勝つパターンだ。
2023年から、選手層の厚いBORA – hansgroheに移籍。だが、勝利を目指す走りではなくアシストしての走りが求められた。
2025年に INEOS Grenadiersに移籍。2025 ルクセンブルク選手権TTと2025 ツアー・オブ・オーストラリア第5ステージで45kmの独走を決めて勝利。
だが、これが最後の勝利となったかもしれない。
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新たな章へ
プロサイクリストとして15年を経て、今シーズン終了をもってレースから引退することを正式に発表する。キャリアを振り返ると、これまでのすべての道のりで支えてくれたチームメイト、チームスタッフ、家族、友人、そしてもちろんファンに対する感謝の気持ちでいっぱいだ。
プロサイクリングは間違いなく今日の私を形作ってくれた。これまでの機会に感謝し、世界を舞台に達成してきたことを誇りに思っている。
この先に待ち受けていることにとても興奮しており、ビジネスというキャリアの次の段階にも、これまでと同じ規律と情熱を注ぎたいと強く願っている。
近いうちに、これらの新しい事業について皆さんに共有できることを楽しみにしている。
またどこかで会おう。




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