テニスにグランドスラム、ゴルフにメジャーがあるように、自転車にも5つのモニュメントがある。
モニュメントとは
格式が高く記念碑的な意味合いも含まれている5つのクラシックレースのこと。
- ミラノ〜サンレモ
- ロンド・ファン・フラーンデレン
- パリ〜ルーベ
- リエージュ~バストーニュ~リエージュ
- イル・ロンバルディア
ミラノ~サンレモには、これまでさまざまなニックネームがつけられてきた。
ラ・プリマヴェーラはその一つで、イタリア語で春。ラ・クラシッシマ、スーパークラシックなど。
長年、聖ヨセフの祝日に開催されていたため、「Saint Joseph Classic」とも呼ばれている。クラシックの中では最長距離の293kmを走り、名前の通り、ミラノからサンモレまで走るレースだ。
過去の優勝者は
-
2021 ジャスパー・ストゥイヴェン
-
2020 ワウト・ファンアールト
-
2019 ジュリアン・アラフィリップ
-
2018 ヴィンチェンツォ・ニバリ
-
2017 ミハウ・クフィアトコフスキ
-
2016 アルノー・デマール
-
2015 ジョン・デゲンコルプ
-
2014 アレクサンダー・クリストフ
-
2013 ゲラルト・シオレック 引退
-
2012 サイモン・ジェラン 引退
今年は、スタート前に多くの有力ライダーが不参加となっており、誰が勝つのかわからないオープンなレースとなりそうだ。
ミラノ~サンレモ 293km
2年振りにトゥルキーノ峠が戻ってきた。2020年は一部の市町村がレースの通過を拒否。2021年は、地滑りのため、コッレ・デル・ジョーヴォ(Colle delGiovo)へと変更となっていた。
今年は、カボス、チプレッサ、ポッジオとともにローマ通りに至る伝統的なコースとなる。
トゥルキーノ峠は、それほどきつい勾配ではない。ここから、サンレモのゴールまでは150km。
例年のコースに戻り、チプレッサとポッジオの登りを経て、下ってサンレモにゴールする。総距離は293km。今年最長のレースとなる。
上の画像は昨年のコース図だが、違うのは下のゴールまでの距離だけだ。今年注目されるのは、チプレッサの峠。
タデイ・ポガチャルが長距離攻撃を仕掛けるのではないかと思われている。
追い風予報もあり、逃げだす選手がいるのは間違いない。
- トゥルキーノ峠 標高539m
- カーポ・メーレ 1.8km・3.8% 標高77m
- カーポ・チェルヴォ 2.1km・2.5% 標高58m
- カーポ・ベルタ 2km・6.3% 標高125m標高125m
- チプレッサ 5.6㎞・4.1% 最大9%
- ポッジオ 3.7km・3.7% 最大8%
注目されるライダーは
-
Trek – Segafredo マッズ・ピーダスン
-
AG2R Citroën Team グレッグ・ファンアーヴェルマート、ボブ・ユンゲルス
-
Alpecin-Fenix マチュー・ファンデルプール、ジャスパー・フィリップセン
-
Astana Qazaqstan Team ジャンニ・モスコン
-
Bahrain – Victorious マテイ・モホリッチ、新城幸也
-
Cofidis ブライアン・コカール
-
EF Education-EasyPost アルベルト・ベッティオル
-
Groupama – FDJ アルノー・デマール
-
INEOS Grenadiers フィリッポ・ガンナ、トム・ビドコック
-
Intermarché – Wanty – Gobert Matériaux アレクサンダー・クリストフ、ギニアム・ギルマイ
-
Israel – Premier Tech ジャコモ・ニッツォーロ
-
Jumbo-Visma ワウト・ファンアールト
-
Lotto Soudal フィリップ・ジルベール
-
Quick-Step Alpha Vinyl Team ファビオ・ヤコブセン
-
Team Arkéa Samsic コナー・スウィフト、ナセル・ブアニ
-
Team BikeExchange – Jayco マイケル・マシューズ
-
Team DSM セーアン・クラーウアナスン
-
TotalEnergies サガン
-
UAE Team Emirates タデイ・ポガチャル
スタート前
Alpecin-Fenixからは、マチュー・ファンデルプールが登場する。さすがに、優勝に絡むことは考えにくいけど、出るだけではないだろう。
体調が悪ければ、ここにはいない。頭の中では考えている、とレース前にコメント。ただ、ロバート・スタナードは病気でDNS。チームは6人で戦う。
ファビオ・ヤコブセンは、ジュリアン・アラフィリップに変わってメンバー入り。キャリア最初のミラノ~サンレモで、何が残せるだろうか。スプリントまで残れればゴールでは最強だ。
ビゴレッリサイクリングトラックからスタート。
パレード走行で前にいるのはイタリアのDrone Hopper – Androni Giocattoli。逃げる気満々かな。
ワウト・ファンアールトは最後尾を走っている。タデイ・ポガチャルがアタックしたら、運転させないと言っているので、間違いなくタディをチェックするはず。
スタート
一回止まってからリアルスタート。
最初の逃げはどうだう。決まればずっとテレビに映るしね。
開始2kmですんなり決まった。8人が見送られた。
- エフゲニー・ギディッチ Astana Qazaqstan Team
- アムチョム・ザハロフ Astana Qazaqstan Team
- アレッサンドロ・トネッリ Bardiani-CSF-Faizanè
- エドアルド・ドルディーニ Drone Hopper – Androni Giocattoli
- リカルド・アレハンドロ・ズリタ Drone Hopper – Androni Giocattoli
- サムエレ・リヴィ EOLO-Kometa
- ディエゴ・パブロ・セビーリャ EOLO-Kometa
- フィリッポ・コンカ Lotto Soudal
昨年優勝のジャスパー・ストゥイヴェンに変わってメンバー入りしたマッズ・ピーダスンは最後尾でヒラヒラしている。自分がここにいるのは少し残念だとレース前には言っている。
ゼッケンナンバーは1を、ジャスパー・ストゥイヴェンに変わって着用。
Jumbo-Vismaは、ヨス・ファンエムデンを集団先頭に送る。すでにタイム差は4分。頑張って維持しないといけない。
Team Arkéa Samsicのナセル・ブアニは過去にミラノ~サンレモはスプリンターが勝つのが困難になってきていることを言っていた。
過去には、4位、6位、8位の成績を残している。今日はポッジオからの下りで追いつけるかな。
Intermarché – Wanty – Gobert Matériauxのレイン・タラマエはバイク交換。ハンドルが緩んだようなジェスチャーをしていた。
昨年はブエルタ第3ステージで、優勝してマイヨロホを2日間着用している。
残り170km。先頭はヨス・ファンエムデンで固定。彼の後ろはメンバーが入れ替わっている。一人で8人を相手にしているが、タイム差は6分37秒で抑えている。
すでに100km以上を一人で引き続けるとは~。37歳だけどTTは抜群に強い。
トゥルキーノ峠 標高539m
先頭はトゥルキー峠を登り始める。タイム差は7分近くになってきた。
残り150km。ここが峠の頂上かな。観客が鈴なりだ。
下りから海岸線に出て、新城幸也が2番手に出てきた。当分テレビに映るかな。
タデイ・ポガチャルは集団の最後尾当たりにいる。
エリア・ヴィヴィアーニは、登りで少し遅れたのだろうか。集団に復帰中だ。
集団後方で落車。Bardiani-CSF-Faizanèのライダーなど6人。
- サッシャ・モードロ (Bardiani-CSF-Faizanè)
- Luca Covilli(Bardiani-CSF-Faizanè)
- Omar El Gouzi(Bardiani-CSF-Faizanè)
- Martijn Tusveld (Team DSM)
- Iñigo Elosegui (Movistar)
ヨス・ファンエムデンは下りで交代していたけど、また先頭に。新城幸也はBahrain Victoriousの先頭を走っている。
トム・ビドコックは最後尾。まだ勝負所までは距離がある。
ワウト・ファンアールトは、チームメイトに守られて進む。シナリオは描かれているだろうか。
先頭はTrek-Segafredoのジャコポ・モスカ。ヨス・ファンエムデンと続く。幸也は3番手。
ミッケルフレーリク・ホノレが落車。背中が破れており痛そう。スピードが上がっている所で痛い。
カーポ・メーレ 1.8km・3.8% 標高77m
タイム差が5分切ってきた。そろそろ先頭開始となる。
短い登りだが、タイム差が少しずつ縮まってくる。
集団は決戦前と言った感じで横一列。
カーポ・チェルヴォ 2.1km・2.5% 標高58m
小さな登りに先頭は入る。
フィリッポ・ガンナはイタリアの期待を一身に集める。果たして期待に応えることは出来るのか。今日のチームの作戦にもよるだろう。多くのメンバーをゴール前まで残したい。
先頭集団が割れ始めたか。アスタナが先頭でペースを上げている。
3人が遅れそうだ。
カーポ・ベルタ 2km・6.3% 標高125m
後方3人は完全に遅れた。
先頭は4人に。
- エフゲニー・ギディッチ Astana Qazaqstan Team
- アレッサンドロ・トネッリ Bardiani-CSF-Faizanè
- サムエレ・リヴィ EOLO-Kometa
- ディエゴ・パブロ・セビーリャ EOLO-Kometa
なんとINEOS Grenadiersのトム・ビドコックが切れてしまった。胃腸の問題が治ってないようだ。
先頭にフィリッポ・コンカが下りで復帰。
なんと、先頭復帰したフィリッポ・コンカは足がつってしまった。なんとか走りだすが、ここまできて残念。
なんとサガンがメカトラ。バイク交換して走り出すが、ベースが上がっているので厳しい。
チプレッサ 5.6㎞・4.1% 最大9%
先頭はチプレッサに突入。
集団は猛烈なペースで駆け上がる。
Jumbo-Visma先頭。ワウト・ファンアールトの後ろにマチュー・ファンデルプールの姿もある。
メカトラで遅れたサガンが追い上げるが~。
集団は一列棒状だ。ディエゴ・ウリッシが引く。
ファビオ・ヤコブセンは遅れた。
ディエゴ・ウリッシに変わって、ダヴィデ・フォルモロが引く。
後ろからプリモッシュ・ログリッチが上がってくる。
ログリッチはワウトの前に入っている。セットアップ完了だ。
集団からのチプレッサでのアタックはなかった。ダヴィデ・フォルモロがずっと先頭を引き続ける。後ろは、タデイ・ポガチャル。
タデイ・ポガチャルは風邪は治ったのかな。
マチュー・ファンデルプールは少し後ろに普通についている。
集団の生き残りは少ない。ベースを落とさなければ、追いつかれることもないだろう。
マッズ・ピーダスン、アルノー・デマール、マテイ・モホリッチ、ジャコモ・ニッツォーロ、ミハウ・クフィアトコフスキ、マシュー・ホームズ、プリモッシュ・ログリッチもいる。
先頭二人はかなり粘っている。すでに280km近く逃げている。
- アレッサンドロ・トネッリ Bardiani-CSF-Faizanè
- サムエレ・リヴィ EOLO-Kometa
ポッジオ 3.7km・3.7% 最大8%
先頭二人の後ろに、集団が見えてきた。
先頭二人は吸収。
Jumbo-Vismaが先頭に。
ここでUAE Team Emiratesが前に出る。
タデイ・ポガチャルがアタック!
ワウト・ファンアールトが張り付く。
さらに、後ろからマチュー・ファンデルプールがジョイン。
捕まったタデイ・ポガチャルが、またもアタック!
だが、これも決まらない。
また、牽制に入る。
ここでプリモッシュ・ログリッチが先頭に出る。後ろはマチュー・ファンデルプールだ。
また、ここで牽制に。マチューもアタックはかけない。
また、タデイ・ポガチャルがアタック!
タデイ・ポガチャルの3度目のアタックも、決まらない。
ここで、セーアン・クラーウアナスンがアタックだ。
後ろに、タデイ・ポガチャル。マチュー・ファンデルプール、ワウト・ファンアールトと続く。
4人が少し抜け出して下り始める。
あっと、ここでマテイ・モホリッチが追いついて、そのままアタックだ!
タデイ・ポガチャルとの差が離れた!
すぐに、100m以上の差がついた。誰かが捨て身で引かないと追いつかない。
後ろは、タデイ・ポガチャルが牽制なしで追うが、これは決まったか?
マテイ・モホリッチに迷いはない。全開で踏むだけだ。
マテイ・モホリッチは、残り2.6km地点でもカーブをギリギリでクリアー。如何にぶっ飛ばしているのかがわかる。
後ろは、一度はマチュー・ファンデルプールが先頭に立って追ったが、また牽制している。
残り1.1km。後ろはまだ牽制。
これは決まった!
マテイ・モホリッチは、ビクトリーロードを単独で走る!
後ろから、アントニー・テュルジスが追い込んでくるが~。
マテイ・モホリッチが逃げ切った~!
なんと、モニュメントの初制覇だ。昨年はツール・ド・フランスで2度の逃げ切りを果たし、シーズン4勝をあげたマテイ・モホリッチは大舞台で大金星だ。
スロベニア人がモニュメントを獲得するのは、タデイ・ポガチャルに次ぐ快挙だろう。
最後の集団に、ヤン・トラトニク、ダミアーノ・カルーゾと残していたBahrain Victoriousは上手く追走をブロックしたはず。新城幸也の引きも素晴らしかった。まさに、チームが生み出した勝利と言って良い。
2位には、追走から飛び出したアントニー・テュルジスがはいる。
マチュー・ファンデルプールは、スプリントで3位にはいり、今シーズンの初レースで表彰台獲得だ。体調はかなり良かったのは間違いない。腰はバイクでは万全だ。
大本命が勝つことがないミラノ~サンレモは、やはり開かれたレースだった。
リザルト
マテイ・モホリッチのコメント
私は冬の間ずっとこのレースについて考えていた、これは私にとってこの春の計画だった。
目標は、私がポッジョで残れるように、山で冬に非常によくトレーニングすることだった。
それから降下で自分の下降能力を示すことができた。チームはそのために私に特別なバイクを用意してくれた。
それは本当に降下に違いをもたらした、私は小さな間違いを避けることができた。私はとても幸せだ。2月の病気の後、私は完璧な状態だった。3月に転落したにもかかわらず、私は自分のチャンスを信じることを決してやめなかった。
マテイ・モホリッチの特別なバイクがどんなものなのか知りたいですね。
Rnk | Rider | Team | UCI | Time |
---|---|---|---|---|
1 |
MOHORIČ Matej
|
Bahrain – Victorious | 500 | 6:27:49 |
2 |
TURGIS Anthony
|
TotalEnergies | 400 | 0:02 |
3 |
VAN DER POEL Mathieu
|
Alpecin-Fenix | 325 | ,, |
4 |
MATTHEWS Michael
|
Team BikeExchange – Jayco | 275 | ,, |
5 |
POGAČAR Tadej
|
UAE Team Emirates | 225 | ,, |
6 |
PEDERSEN Mads
|
Trek – Segafredo | 175 | ,, |
7 |
KRAGH ANDERSEN Søren
|
Team DSM | 150 | ,, |
8 |
VAN AERT Wout
|
Jumbo-Visma | 125 | ,, |
9 |
TRATNIK Jan
|
Bahrain – Victorious | 100 | 0:05 |
10 |
DÉMARE Arnaud
|
Groupama – FDJ | 85 | 0:11 |
11 |
ALBANESE Vincenzo
|
EOLO-Kometa | 70 | ,, |
12 |
GIRMAY HAILU Biniam
|
Intermarché – Wanty – Gobert Matériaux | 60 | ,, |
13 |
ARANBURU Alex
|
Movistar Team | 50 | ,, |
14 |
SÉNÉCHAL Florian
|
Quick-Step Alpha Vinyl Team | 40 | ,, |
15 |
CARUSO Damiano
|
Bahrain – Victorious | 35 | ,, |
16 |
KWIATKOWSKI Michał
|
INEOS Grenadiers | 30 | ,, |
17 |
ROGLIČ Primož
|
Jumbo-Visma | 30 | ,, |
18 |
NIZZOLO Giacomo
|
Israel – Premier Tech | 30 | 0:21 |
19 |
ROTA Lorenzo
|
Intermarché – Wanty – Gobert Matériaux | 30 | ,, |
20 |
PACHER Quentin
|
Groupama – FDJ | 30 | ,, |
21 |
NEILANDS Krists
|
Israel – Premier Tech | 20 | 0:26 |
22 |
LAPORTE Christophe
|
Jumbo-Visma | 20 | 0:59 |
23 |
GARCÍA CORTINA Iván
|
Movistar Team | 20 | 1:05 |
24 |
ULISSI Diego
|
UAE Team Emirates | 20 | 1:09 |
25 |
VALGREN Michael
|
EF Education-EasyPost | 20 | 1:13 |
26 |
KRISTOFF Alexander
|
Intermarché – Wanty – Gobert Matériaux | 20 | 1:14 |
27 |
BOUHANNI Nacer
|
Team Arkéa Samsic | 20 | ,, |
28 |
CONSONNI Simone
|
Cofidis | 20 | ,, |
29 |
FIORELLI Filippo
|
Bardiani-CSF-Faizanè | 20 | ,, |
30 |
VENDRAME Andrea
|
AG2R Citroën Team | 20 | ,, |
コメント