ナイロ・キンタナがまたもティボー・ピノを登りで破っている。
フランスのプロヴァンス地方、ヴァール県で開催されたツール・デュ・オー・ヴァルは3日間のステージレース。
第2ステージのペゴマ~コル・デスでの登りで独走勝利。最終日もロマン・バルデ、リッチー・ポートを抑えての勝利を飾った。
ナイロ・キンタナの好調の要因を探ってみよう。
ツール・デュ・オー・ヴァル
ヨーロッパコンチネンタルサーキットの1クラスでありながら、ワールドツアーチームが8チーム参加。
各チームのエースは以下の通り。
- Groupama – FDJ ティボー・ピノ
- AG2R La Mondiale ロマン・バルデ
- Cofidis, Solutions Crédits 二コラ・エデ
- Trek-Segafredo リッチー・ポート
- EF Pro Cycling サイモン・クラーク
- NTT Pro Cycling ベン・オコナー
- Team Sunweb ニコラス・ロッシュ・サム・オーメン
- CCC Team ファスト・マスナダ
- Team Arkéa Samsic ナイロ・キンタナ
- Team Total Direct Energie リリアン・カルメジャーヌ
ティボー・ピノにロマン・バルデ、それにサントス・ツアー・ダウンアンダーを総合優勝したリッチー・ポート。
ティボー・ピノはツール・ド・フランスを狙っているが、ロマン・バルデの目標はジロ・デ・イタリア。
時期的に考えて、ロマン・バルデはそろそろエンジンをかけないといけないところだが。
メンバー的には、かなり濃いメンツが揃っている。2019年の総合優勝はティボー・ピノでロマン・バルデに3秒差で勝利している。
第2ステージで勝負
第1ステージはコフィディスのアントニー・ペレスが勝利。
有力選手であるティボー・ピノ、ロマン・バルデ、リッチー・ポート、ナイロ・キンタナは6秒遅れの第2集団でゴールしている。
お互いを牽制して様子見といったところか。
このステージではティボー・ピノが第2集団のトップでゴールしており体調が悪いようには思えない。
第2ステージも第1ステージに続いてアップダウンの連続。
ほとんど平地はないと言っても良いコース。絞られた集団は最後のコル・デスの登りでの勝負となる。
だが、第2ステージの最後の登りではナイロ・キンタナのアタックにティボー・ピノは反応するものの、すぐに遅れてしまう。
ナイロ・キンタナの登りのスピードは圧倒的で、有力選手の揃っている第2集団を40秒もリードして勝利した。
各チームのエースが揃っている集団を40秒も離すなんて、どれだけ調子が良いのか?
第3ステージでは、2位以下に38秒のタイム差をつけたナイロ・キンタナは有力選手の走りをチェック。
最後の登りゴールは、ジュリアン・ベルナール(Trek-Segafredo)が勝利。ジュリアン・ベルナールは1980年代後半から90年代にかけて活躍したジャンフランソワ・ベルナールの息子で27歳。
ナイロ・キンタナはロマン・バルデとリッチー・ポートに先着してゴール。ティボー・ピノはナイロ・キンタナグループに24秒遅れている。
あれだけサントス・ツアー・ダウンアンダーで絶好調だったリッチー・ポートはどうしたんだろうか?
悪い走りではないのだが、あまりもナイロ・キンタナが速すぎるということか。
ナイロ・キンタナの好調の理由を探る
記録を調べてみると、ナイロ・キンタナは春先はとても好調なことがわかる。
それを推測すると、オフの間に故郷のコロンビアに帰ってトレーニングしているからではないだろうか?
ナイロ・キンタナの故郷はコロンビアのボヤカ県。ボヤカ県の標高はわからなかったが、首都ボコタと同じアンデス山脈の近くにあるならば標高は2600mになる。
高地トレーニングは1300mくらいから有効だと言われており、2000m以上でトレーニングしているならば十二分に効果があるだろう。
特に山岳では、3000m級の場所でトレーニングを行っているだろうから最高の環境だ。
高地トレーニングのデメリットは、負荷が高いために疲労回復が遅くなる。人によっては合わないこともあり、チームスカイは一度チャレンジしたが今は行っていない。
だが、ここに最初から住んでいたナイロ・キンタナは普通に生活しているだけでトレーニングしているようなものだ。
オフの間にコロンビアに帰ってトレーニングすることにより、平地に戻った時にはかなり楽に走れる。
フランスアルプスに住んでいる自転車仲間のフランクによると、日本に帰ってきた時に自転車で走ると心拍が物凄く楽に感じると言っている。
だが、数カ月の間日本にいると普通になってしまうらしい。ナイロ・キンタナも高地トレーニングの効果が出ているので現在好調なのではないだろうか。
まだ気温も高くなく山岳での暑さによる疲労もないため最高の状態で走れていると思われる。
モン・ヴァントゥで最速スピードで上がれたのも今の時期だからというのもあるだろう。
好調な時期があれば不調になることもある。ナイロ・キンタナの好調がどこまで続くかはわからない。
6月のツール・ド・フランスまで好調が続けば良いのですが。さて、どうなるでしょうか?
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