2026 ボルタ・ア・カタルーニャ第5ステージでPinarello Q36.5 Pro Cycling Teamのトム・ピドコックが崖下に転落したのはお伝えした。
第6ステージはスタートしなかったけれど、本人が腫れた膝の様子と転落の様子を語っている。通常崖下に転落したら、打撲や擦過傷で大変なことになると思われるが実際どうなんだろうか。
命の危険を伴う致命傷を免れた事実
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事故は第5ステージの勝負所となる終盤のダウンヒルで発生した。
ボトルからドリンクを飲んでいたトム・ピドコック(Pinarello Q36.5 Pro Cycling Team)は、ブレーキングのタイミングを誤り、オーバースピードのままコーナーを直進して渓谷へと転落してしまった。
本人がSNSで明かしたところによると、落車時のスピードはおよそ時速60kmに達していたという。生身のサイクリストが急峻な山道からその速度で崖下へ投げ出されることは、通常であれば骨折にとどまらず、命に関わる大惨事に直結する。
2018ツール・ド・フランスの第16ステージでアタックをかけていたフィリップ・ジルベールが下りカーブで崖下に転落。
1995年には五輪金メダリストのファビオ・カサルテッリ(イタリア)がツール・ド・フランス第15ステージで非業の死を遂げている。
むき出しの岩肌や樹木に激突するリスク、さらには救助が困難なほどの深い谷底へ滑落する危険性を考慮すれば、彼が自力で無線を使ってチームに連絡し、再び自転車に乗ってフィニッシュ地点まで辿り着けたことは、まさに奇跡的な生還と言える。
彼自身も事態の重大さを深く理解しており、SNSの投稿で「今日は間違いなく命を一つ失った」と、ビデオゲームに例えて九死に一生を得た心境を綴っている。
「自分で自分のことを忍者クラッシャーと名乗ることにするよ。時速60kmで山道から渓谷に落ちたのに、比較的無事で済んだんだから」
トム・ピドコックの言葉通り、オフロード競技で培われた驚異的なバイクコントロールと受け身の技術、そして何より計り知れない幸運が重なったことで、最悪の事態は免れた。
転落した場所は道路から遠く離れた死角になっていたため、もし意識を失って無線で自ら連絡が取れていなければ、誰にも気づかれずに救助が手遅れになっていた可能性すらあったのだ。
奇跡的に命拾いしたピドコックだったが、無傷で済むはずもなく、ダメージは確実に彼の体を蝕んでいた。ステージ完走後から右膝と右の手首に痛みが出始め、翌朝には右膝が風船のように大きく腫れ上がってしまった。
Tom Pidcock is not starting today in Catalunya, his knee has swollen after yesterday’s crash. 😪 Heal fast, Tom! #VoltaCatalunya105 pic.twitter.com/3brXBoixfn
— Mihai Simion (@faustocoppi60) March 28, 2026
チームドクターの初期診断により、骨と靭帯に損傷を負っている可能性が高いことが判明し、第6ステージのスタートラインに立つことは叶わなかった。
「スタートするためにあらゆる努力をしたけれど、無理だった。昨日なんとかステージを完走したのは、レースを続ける選択肢を残すためだったんだ。今は回復に集中して、必ず強くなって戻ってくるよ。」
総合争いからは脱落し、春のクラシックシーズンに向けた調整にも狂いが生じる結果となった。しかし、時速60kmでの絶望的な転落事故を振り返れば、彼が再び自転車に乗ってレースに戻ってこられるという事実そのものが、チームとファンにとって最大の安堵となっている。
トム・ピドコックのレーススケジュールは以下の通り。
- 4月17日 ブラバンツ・パイル
- 4月19日 アムステルゴールドレース
- 4月22日 フレッシュ・ワロンヌ
- 4月26日 リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ
- 7月04日 ツール・ド・フランス
Pinarello Q36.5 Pro Cycling Teamが移籍で補強したとはいえ、勝利を狙えるのはトム・ピドコックとマッテオ・モスケッティくらいだ。エースがレースに出れないとチームはなりたたないと言ってもいいくらいだ。
トム・ピドコックがレースを続けられるというのはチームを救うことにもなる。





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