元アワーレコード保持者であり、血友病で世界で唯一のブロアストリートであるIsrael – Premier Techのアレックス・ダウセットが今シーズン限りでの引退を表明した。
出血性疾患を抱えており、落車して出血した場合、止まらないだけでなく場合によっては死を意味する。
だが、アレックス・ダウセットは、2011年にチームスカイでブロとなって英国タイムトライヤル王者に6回、プロキャリア通算15勝を上げている。
アワーレコードも記録
2013年、Movistar Teamに所属していたアレックス・ダウセット。2013ジロ・デ・イタリア第8ステージの54.8kmの過酷な個人タイムトライヤルで、当時ツール・ド・フランス王者のブラッドリー・ウィギンズに10秒差をつけて勝利している。
7年後、ダウセットは2020ジロ・デ・イタリア第8ステージで、今度はIsrael Start-Up Nationから出場。ロードステージでの珍しい勝利を収めた。
逃げ集団からアタックをかけ、単独でゴールしている。
2015年5月、ダウセットは52.937kmのUCIアワーレコードを樹立した。だが、この記録は1ヵ月後にブラットリー・ウィギンズに抜かれている。
2021年11月にもアワーレコードに再挑戦。当時のヴィクトール・カンペナールツの記録である55.089kmには及ばず、英国記録であるブラットリー・ウイギンズの記録を抜いている。
今年初めには、さらに2年間ワールドツアーに参加することを示唆していたアレックス・ダウセットだが、今シーズン限りでエリートサイクリストとしてのキャリアに幕を下ろすことを明らかにした。
今後の活動は
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アレックス・ダウセットはYouTubeチャンネルで以下のように語る。
ワールドツアーから、いや、プロサイクリングから、これからは足を洗うつもりだ。
数ヶ月前、あと2年欲しいと言っていたのは分かっているんだけど…あれから何が変わったのかを話す価値があるね。
今年は、以前優勝したときよりも大きなものを獲得したい、あるいは以前よりも良い成績を収めたいという気持ちがやや弱まり、自分が達成したことに満足し、自分の仕事や成果、成功、ワールドツアーへの参加に満足している時期なんだ。
人生のこの章を終えて、前に進むにはとてもいいタイミングだと思う。自分の意思でこれを終わらせることができ、本当に感謝している。これは僕が決めたことで、何も強制されたことはないんだ。
来シーズンの新しい契約に関して、またもや「待ちのゲーム」となるので、昨年もストレスが多かった。今こそ、ここから進む時だ。
何をするかはともかく、楽しみなのは自分のスケジュールで行動できること。なぜなら、プロサイクリストであることはタフで、ロードにいる時間が多いからだ。
僕には小さな娘がいて、家族がいて、その家族と離れている時間がとても長い。そして、私はそれをしないことを楽しみにしているし、私はもう少しコントロールできることを楽しみにしている。
ワールドツアーですべてを洗い流してしまったような気がするんだ。このレベルでは、もう何も与えるものがないような気がする。
そして、僕にとっては、今日一日を終えて、他のことではなく……二輪に集中するための、本当にいいポイントになったんだ。
私は二輪車が大好きで、そのさまざまな側面を愛したいと思っている。そして、2023年にはとてもエキサイティングなことが待っているんだ。
私のキャリアの中で最も誇りに思っていることは、血友病患者のコミュニティ内で達成できたことだ。
血友病患者であることで、血友病患者に何ができるかを示すことができる。来年は、それをさらに進化させたいと思っている。
血友病患者のコミュニティや希少疾患のコミュニティを支援するために、もっと多くの仕事をすることになるだろう。私は助けることができる立場にあり、助けることを楽しんでいるし、助ける責任があると感じている。
アレックス・ダウセットは、まだ2023年の計画を完全に明かしていないが、コーチングや他のエリートアスリートのパフォーマンスを向上させる仕事と共に、タイムトライアル、グラベルイベントに出続ける予定。
ただし彼は「プロのグラベルレーサー」にはならないと主張している。
2016年、血友病の症状を持つ子供たちを支援する慈善団体Little Bleedersを設立。出血性疾患を抱えながらレースをすることは常にリスクも伴う。だが、大きな落車もなくプロキャリアを終えることが出来るのはよいことだ。
アレックス・ダウセットの次の舞台での活躍を期待しよう。
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