英国ヒルクライム選手権といえば、限界まで軽量化されたバイクが注目される舞台だ。
その世界で長年、徹底的な軽量化を追求してきたのが、英国ヒルクライム界のトップ選手アンドリュー・フレーザー。
2025 ポギチャレンジで、タデイ・ポガチャルを破ったヒルクライマーだ。時間差だったけど。
アンドリュー・フレーザーは、過去には5kg台前半の超軽量バイクを投入するなど、1gでも軽くというヒルクライムバイクの究極形を追求してきた。
ところが2026年、アンドリュー・フレーザーのバイクに大きな変化が起きた。
今年は、軽さではなく「空力」を重視している。その理由は、2026 英国選手権の舞台となるコースそのものにあった。
毎年、軽量化を突き詰めてきたアンドリュー・フレーザー
アンドリュー・フレーザーは、英国ヒルクライム選手権を象徴する選手の一人。
これまでのヒルクライムでは、短時間で急勾配を駆け上がるため、バイクの軽量化が非常に重要だった。
そのためフレーザーも、専用の超軽量ホイールなどを使用し、可能な限り重量を削ったマシンを投入してきた。
過去には5.4kgのディスクブレーキ仕様も話題になったほどだ。
さらに以前のマシンでは、SWIのAequusをベースにしたヒルクライム専用バイクを使用。軽量化を極限まで追求したその姿は、まさに「ヒルクライムバイク」という言葉を体現するものだった。
ところが2026年は、その方向性が大きく変わっている。
今年は軽さからよりエアロに
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アンドリュー・フレーザーが2026年のヒルクライムシーズンで選んだのは、Specialized S-Works Tarmac SL8。
そして最大の変化は、バイクだけではない。
AeroCoachのザビエル・ディズリーとともにポジションを大幅に変更し、以前よりフロント部分を5cm低く、リーチを6cm長くした。
さらにハンドル幅も従来の42cmから32cmへ10cmも狭くしている。
つまり、これまでのフレーザーの「アップライトなヒルクライムポジション」から、かなり前傾したエアロポジションへと変貌した。
ヒルクライム選手が、ここまで大胆に空力を意識したポジションへ変更するのは非常に興味深い。
Instagramを見ると、トラックでポジション調整など本格的に行ってポジション出しをしている。
なぜ今年はエアロなのか?
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その答えは、2026年の英国ヒルクライム選手権のコースにある。今年の舞台は、サマセット州のPorlock Toll Road。距離は約6.2km、平均勾配は約5.2%。
これまでの一般的な英国ヒルクライム選手権のコースに比べると、かなり長く、勾配も緩やかだ。
しかも、Strava上のKOM記録では30km/hを超える平均速度で走られている。
つまり、単純に「軽ければ速い」というコースではない。速度が上がれば上がるほど空気抵抗の影響は大きくなる。
そこでアンドリュー・フレーザーは、重量増を受け入れてでも、空気抵抗を減らして走行時間を短縮する方向へ舵を切った。
これまでのヒルクライムの常識だった「とにかく軽く」という考え方から、「このコースならエアロのほうが速い」という発想への転換だ。
ホイールも超軽量仕様から変更
空力重視への変更は、ポジションだけではない。
これまで使用していたHuntのHill Climb SLは、前後セットでわずか963gという超軽量ホイール。
しかし2026年は、HuntのLimitless 5AMや6AMを使用し、現在は5AMを好んで使っているという。重量は1,212gあるので、その差は239g。
さらにタイヤもチューブラーからチューブレスへ変更し、VittoriaのCorsa Pro Speed 28mmを選択している。250gくらいか。
軽量化だけを考えれば、従来型のヒルクライム仕様のほうが有利。
しかし今年のPorlock Toll Roadでは、速度域が高いため、空力性能を優先する価値がある。
アンドリュー・フレーザーは、エアロ路線に舵を切っているけれど、その他のヒルクライマーはどうするだろうか。
短く急な坂なら、重量を削ることのメリットは大きいけれど、距離が長く、勾配が緩く、速度が高いコースでは、空気抵抗を減らすことが重要になってくる。
一番軽いバイクではなく「一番速いバイク」を作る。
2026年の英国ヒルクライム選手権は、そんな新しいヒルクライムバイクの方向性を見るうえでも非常に興味深いレースになりそうだ。
冒頭の動画の最後には衝撃的な発言もあるので字幕を日本語にしてみてみるといいかも。







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