2026年シーズンのレーススケジュールを公表しているタデイ・ポガチャル。
全てのモニュメントに出場する欲張りスケジュールだが、新しいステージレースも入っている。
「すべてを勝ち取るための時間は、もうそれほど残されていない」 27歳になった王者が口にしたのは、キャリアの有限性と、それゆえの焦燥感にも似た野心だった。
彼は今、自らのキャリアをチェックリストのように捉え、未獲得のタイトルを一つずつ塗りつぶそうとしている。 以下、ポガチャルが語った現在の心境をインタビュー形式で紹介する。
残された時間とチェックリスト
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2026年はロマンディとスイスという新しいレースに挑みます。これは「まだ勝っていないレース」を勝ちに行くということですか?
そうだね。もしミラノ〜サンレモとパリ〜ルーベという残る2つのモニュメントを勝ってしまえば、カレンダーにはもう僕が勝つべき大きなレースはあまり残っていないと言えるかもしれない。
でも、実際にはまだあるんだ。まだ走ったことのない1週間のステージレースもたくさんあるし、ブエルタ・ア・エスパーニャもまだ勝っていないからね。
すべてを勝ち尽くそうとしているように見えます。
でも、年月が過ぎるのは早いんだ。 すべてを勝ち取ろうとするための時間は、もうそれほど多く残されてはいない。自転車レースのカレンダーは膨大だからね。
もちろん、手当たり次第にすべてのレースを勝とうと急いでいるわけじゃない。一度勝ったレースに戻って再び勝つのも好きだから。
ただ、世間の人々が思っているほど、すべてのレースを勝つことに執着しているわけではないよ。それはルーベやサンレモに対しても同じだ。
春はクラシックに集中し、グランツールはツール・ド・フランスのみ。クラシックの方が楽しいですか?
クラシックはたった1日だ。すべてがその1日に凝縮されている。僕はその感覚が好きなんだ。 ツール・ド・フランスでは毎日プレッシャーがかかる。
ツールでクラシックと同じだけの楽しみを感じることは不可能だよ。21日間全力を尽くすというのは全く別の仕事だ。喜びを感じられるのは、3週間が終わった後だけだね。
レムコ・エヴェネプールはクラシックを減らし、ツールに集中する選択をしました。
彼がそう決断した理由は理解できるよ。誰もが勝つために自分の道を探しているんだ。
僕自身はクラシックとツールの組み合わせが機能することを証明できたと思っているけれど、毎週のようにモニュメントやビッグレースを走ってから、再び山岳向けの体を作ってツールに備えるのは確かにハードだからね。
ヨナス・ヴィンゲゴーがツールに出ないかもしれないという噂がありますが?
それは残念だね。僕はいつも言っているけれど、最高のレベルで、最高の相手と戦いたいんだ。その方が勝利の価値が高まるからね。 でも、彼が何を選ぶかは彼次第だ。
「ツールに出てくれ」なんて僕から電話するつもりはないよ(笑)。もちろん、彼が来てくれることを願ってはいるけどね。
あなたは今や誰もが認めるスーパースターです。その生活はどうですか?
このレベルに到達するのが簡単だったとは言わないし、ここに留まり続けるのはもっと大変だ。ものすごくハードワークをしているし、もちろん疲れることもある。
常に多くの緊張感があり、メディア対応やスポンサーへの義務もある。大変だけど、不可能なことじゃない。このトップにいられる時間を楽しもうとしているよ。 ただ唯一望むことがあるとすれば……時々は普通の人間になりたいと思うことはあるね。
年間60日程度にレース数を絞っているのはそのためですか?
そのスタイルは僕に合っているんだ。僕は量より質を取りたい。 80レース走って勝つよりも、60レースで確実に勝ちたいんだ。
だからといって40レースまで減らして5勝しかできないのも嫌だけどね(笑)。 チームと僕の間で、今はちょうどいいバランスが見つかっていると思うよ。
27歳のタデイ・ポガチャル。すでに自分のキャリアの終焉までの時間もカウントダウンしている。同じスケジュールで毎年こなすライダーもいるが、タデイのように毎年違うレースを選ぶことも出来るのは凄いことだ。
ただ、出場枠の不足分を埋めるために出場しなければならないライダーもいる中、自分は嫌なレースにはノーと言えるのも贅沢なことだと。
残された時間、どこまでチェックリストを減らしていけるのか。新たに加わったステージレースは必ず取るだろう。






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