2018年ジロ・デ・イタリア第19ステージ。
グランツール史上もっとも劇的で凄い逃げ切り勝利。
単独での80キロの独走をなしとげたクリス・フルームの伝説の一日の動画がYouTubeにあがってきました。
以前、フル動画があったのですが、サービスだったようですぐに削除されてました。
今回のもダイジェストですが、それでもスカイのアシストが一人ずつ高速で引いてフルームを解き放つまでが見れます!
この時点でのアタックを誰が予測出来たのか
2018ジロ・デ・イタリア第18ステージを終えた時点でのタイム差は
順位 | 選手 | タイム差 |
---|---|---|
1 サイモン・イェーツ | Mitchelton-SCOTT | |
2 トム・デュムラン | Team Sunweb | 0:28 |
3 ドメニコ・ボッツォヴィーヴォ |
Team Bahrain Merida
|
2:43 |
4 クリス・フルーム | Team Sky | 3:22 |
5 ティボー・ピノ | Groupama-FDJ | 4:24 |
ここまで、絶好調だったサイモン・イェーツが第1位。
フルームは、トップから3分22秒も遅れている展開。トム・デュムランとのタイム差は2分56秒もあった。
誰もが、フルームの優勝はもうないだろうと思っていたはず。アタックはかけても、とてもトップまでは難しいと。
アタックをかけた地点は、ゴールまで80.3キロの地点。フィネストーレ峠。
誰もが予測するのは、最後のフィニッシュ地点に向けてアタックをかけるという作戦。
まさか、アシストを全て使ってフルーム一人で独走をこの地点からかけるとは、どのチームも選手も予測不能の出来事だった。
フィネストーレ峠でチーム・スカイの先頭を最初に引き始めたのはサルヴァトーレ・プッチョ。
ジロ・デ・イタリア2013第2ステージのチーム・タイムトラヤルでチーム・スカイが勝利してマリア・ローザを着れたのがサルヴァトーレ・プッチョ。
グランツールの出場はジロ・デ・イタリアに2回出場。実はプロでの勝利はまだない。地味なアシスト生活を淡々とこなすナイスガイ。
プッチョの4キロに渡る先頭牽引で、マリア・ローザのサイモン・イェーツが先頭集団から脱落。
ダビ・デラクルス
続いて、引き始めたのはダビ・デラクルス。
2016ブエルタ・ア・エスパーニャ第9ステージではマイヨ・ロホを獲得。総合7位でフィニッシュしている実力者。クイック・ステップから2018年にチーム・スカイに移籍。
ダビ・デラクルスがその実力をいかんなく発揮して5キロにわたって先頭を引き倒した。
すでに、トップであったサイモン・イェーツは集団のはるか後方。そして、総合3位だったドメニコ・ボッツォヴィーヴォも脱落。
ケニー・エリッソンド
フィネストーレ峠は、未舗装の荒れた道へとなった所で、最後のアシストであるエリッソンドが懸命なスピードアップ。
フルームの後ろについていたデュムランが少し離れる場面も動画には写っている。それくらい渾身の力走で身体を振りながら全力アシスト。
普段から、フルームのトレーニングパートナーとして練習しているエリソンド。
169センチ。52キロという小柄な選手。
2013年 ブエルタ・ア・エスパーニャの最難関ステージであるアングリルにてステージ勝利を挙げており、2016年には山岳賞に手が届くほどの活躍。
フランス期待の山岳クライマーでしたが2017年にFDJから移籍。
このエリソンドの1キロの牽引からフルームは全力でアタック!
頂上では40秒。その後の下りが速かった
フィネストーレ峠頂上まで7キロでフルームが稼ぎ出したタイムは40秒。
後ろから追うデュムラン、ティボー・ピノやライヒェンバッハ、ミゲルアンヘル・ロペスとリチャル・カラパスらは集団なので余裕で追いつくと思っていたでしょう。
ただ、フルームの下りはあまりにも速かった!
得意のトップチュープに座ってペダルをこぎ続けるスーパータックでフィネストーレ頂上から11kmの間に、タイム差は一気に1分30秒まで開いた。
ギリギリのラインで、しかも途中の路面は濡れている状態でのダウンヒル。
このフルームの下りの速さも計算されていたのでしょう。平地・登りではパワーメーターを見ながら350ワットで踏み続ける。
集団のお見合いも計算していたのだとするとチーム・スカイの戦略恐るべしだ。
デュムランの大誤算は、あまりにも回らなかった追走グループの機能。特に新人賞争いをしていたミゲルアンヘル・ロペスとリチャル・カラパスは、全くといっていいほど最後まで先頭交代には積極的に加わらなかった。
それどころか、二人でアタックの掛け合い。
アタックをかけられては、マイペースで追いつき、また先頭を引く。そしてまたアタックをかけられる。あまりにも可愛そうな展開でした。
デュムランが集団をあてにせずに一人で引き続ければ、ここまでのタイム差はつかなかったかも知れない。タイムトライヤルではフルームに勝り、登りもさほど差はない。
一対一の駆け引きと思って走れば逆転されることはなかったかもしれないのだ。
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