フィリッポ・ガンナは、アワーレコード世界記録を更新。
今回の記録では、1996年にクリス・ボードマンがスーパーマンポーズで記録した56.375kmも抜いている。
クリス・ボードマンの記録は、UCIベスト・ヒューマン・エフォートと呼ばれており、エアロハンドルかつモノコックフレームという、記録が出やすい自転車での樹立であるため未公認だった。
ガンナは56.792kmを記録しており、417mも更新。このバイクの詳細の写真があるのだけど、驚いたのはULTEGRA(アルテグラ)が一部使われていることだ。
Pinarello Bolide F HR 3

Image credit: RONAN MC LAUGHLIN
なんと言っても特徴的なのはザトウクジラの形状からヒントを得たフレームの凹凸デザイン。これが、どれだけ空気抵抗に影響するのか具体的なデータは公表されていない。

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比較的深い隆起部は、シートチューブの隆起間の谷に渦を生成し、気流の分離を減らし、フレームの抵抗を減らす。
ザトウクジラの結節を模したシートチューブとダウンチューブは、ライダーの足から出る気流が チューブに付着するのを助け、ライダーとバイク全体の抵抗を大幅に軽減すると言われている。

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ガンナのバーも変わっている。通常は真っすぐなことが多いけど、ねじれていること。肘がくる部分は曲がっている。

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エクステンションの正確な形状は、ガンナの前腕に完全に一致するように設計されている。
ガンナはエクステンションに前腕を置いている。全てカスタムメイドだ。

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フロントフォークとタイヤの隙間も限りなく狭い。

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ハブシェルとフォークレッグの間は2mmしかない。ハブ自体は標準のハブよりも大幅に狭い。
- フロント69 mm (100mmから減少)
- リア89 mm (120mmから減少)
おそらく、ハブにはグリスではなくオイルが塗られている。これは、8月にダン・ビンガムが成功したセットアップと同じだ。

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タイヤも大注目だ。23mmのタイヤ幅のContinental GP 5000 TTが使われている。画像を良く見ると、このタイヤは特別限定モデルのツール・ド・フランス (TDF) タイヤだ。
最近の幅広のタイヤではなく、チューブレスでもない。クリンチャータイヤ。やっぱり、細いほうが、空気抵抗を考えると速いということなのか?
ホイールのPrinceton Carbon Worksも特別に作られた幅の狭いものになっている。シンプルに前影面積を減らすという方法がとられていることがわかる。

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Princeton Carbon Worksのディスクホイールのデカールは、TOP GANNAが描かれてますね。反対側は、Princeton Carbon Worksのロゴ。
バイクは2台あって、もう一つも同じ仕様。UCIの規定で2台準備しないといけない。

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とにかく、正面から見ると限りなく細く、横からみると幅広。ダウンチューブとシートチューブのカットアウトもギリギリだ。
ULTEGRAを使用

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通常アワーレコードの場合には、Speedplay Aeroペダルが使われる。
だが、ガンナはFaveroのAssioma Shiパワーメーターペダルを選んでいる。Assioma Shiは、システムのQファクターに13mmを追加する。

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ペダルは、PD-R8000と書かれておりアルテグラだ。理由は簡単で異なるアクスルデザインを使用するDura-AceペダルとAssioma Shiは互換性がないため。
それでも、Assioma Shiを利用するのには理由があるのだろう。パワーメーターをつける方法は他にもありそうな感じだけど。
ダン・ビンガムは、Speedplay Aeroペダル使っている。変えた理由はなんだろうか?

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Wattshop Cratus Aeroモジュラークランクセットで65Tのギア。クランクアームは、Qファクターが 134mmと驚異的に狭い。 Assioma Shiで13mm追加されるから、これで通常くらいかな。
チェーンは、Izumi Kaiチェーンを使用。日本の大阪府阪南市にある、金属製品製造企業「和泉チエン株式会社」が作っているトラック専用チェーンだ。
このチェーンにMuc-Off処理を施している。その結果、ストックコンポーネントよりも30%効率的だと言われている。

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このバイクの価格は1,000万円ともいわれている。2台あるから2,000万円?
相当な資金力がないと挑戦するための機材も作れないことになる。INEOS Grenadiersのバックアップがあるからこそ出来る技でもありますね。
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