UCIは自転車の設計規則を着実に改訂しており、フレームとチューブの断面比を 3:1 に制限するという事前規定は、現在では修正が可能になっている。
最小全体寸法は 10mm、最大全体寸法は80mm で、最大比 8:1まで設計できる。トップチューブが10mmでダウンチューブが80mmでも良い訳だ。
このルールに沿ったロードエアロフレームも少しずつでているが、極端なものはない。今回紹介するStromm Track Bikeは、ルールの恩恵を最大限活用したものだ。
Stromm Track Bike

Image credit: Stromm Cycles
Stromm Track Bikeの特徴は
- 傾斜したトップチューブとシートポストのデザインが渦を生成し、ライダーの背中に空気が付着した状態を長く保ち、剥離や乱流を遅らせ、抗力を軽減
- フォークとシートステーがライダーの脚全体の空気の流れを促進
- シートチューブはライダーの脚の影響を受けると推進力のある揚力を生み出す
- 幅広のフォークとシートステーにより、ホイールの違いによる影響が最小限に抑えられる
- このフレームでは、適切に設計されたホイールはどれも高速となる

Image credit: Stromm Cycles
通常のチューブの形は、上図のように後方が3:1ルールのために切り取られたカムテール形状と言われる形となっている。
Stromm Track Bikeの場合には、断面抗力が600% 以上低い形状を作成しており、新しいルールを最大限活用した形状となっている。
フレーム全体の各翼形は、最高のパフォーマンスを実現するために特定の場所の目的に合わせて設計されている。
アッパーシートチューブの形状は、最小限の抗力で推進揚力を最大化し、ライダーの脚がシートチューブ付近で一時的な乱れを引き起こすとバイクを前方に推進させる。

Image credit: Stromm Cycles
フォークはこれを極限まで高めたもので、非常に狭いクラウンと非常に幅広に設定されたレッグを備えている。
そのアイデアは、空気がホイールを通過してより自由に移動できるようにし、空気が近くのフォーク脚を通過するときに発生する乱流を排除すること。
この形状は、ライダーの抵抗の主な原因である脚をよりスムーズに空気を導くことも主張している。

Image credit: Stromm Cycles
トラックバイクの金型を作成するには莫大な資金が必要となる。
Stromm Track Bikeのメンバーは、この自転車を2024パリオリンピックで使用される資格を得ることを考えている。
そのためには、UCI は、トラック ネイションズ カップ イベントや、次のトラック世界選手権など、2023 年中にその自転車が競技で走行することを要求している。
メンバーはマスターズ世界選手権などに出場しているが、サイズは共通なので現在は1台しか完成していない。そのため、クラウドファンディングで資金調達を目指している。
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